親がPTA非会員だと子どもが記念行事の記念品をもらえない

PTA非会員に対して「子どもの不利益」がいくつも述べられていた。子どもの学校生活を人質にとられて脅されている気分だ。本来PTAとは任意加入の組織かつ、学校に通う全ての子どもたちのために活動する団体のはずである。それがいつの間にか保護者の全員加入が前提となり、卒業式など、全校生徒が参加する行事の記念品購入にPTA会費が使われている。だから「非会員には記念品は渡せません」という、学校内であってはならない子どもへの差別的な扱いがまかり通っているのだ。

ランドセルを背負い、駆け出す小学生男児
写真=iStock.com/TATSUSHI TAKADA
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公立中学校に勤めていたときに知ったことだが、学校がPTAをなくせないのも、強制加入を黙認しているのも、「PTA会費ほしさ」というのが理由にあるだろう。

学校が使えるお金には、「学校配当予算」と「学校徴収金」がある。学校配当予算は市町村から配分され、予算を使うには学校内で手続きが必要だ。学校徴収金は学校が保護者から集めるお金で、学年費や修学旅行の積み立て、副教材など教育活動に必要だとあらかじめ保護者に伝えたものの購入に使われる。どちらも使い道の自由度が少なく、いざというときに欲しいものが買えない。だから学校とっては、使い道が後から自由に決められるPTA会費の存在はありがたいのだ。

結局のところ学校はPTA会費を融通してほしいだけでは

今回のケースでは、そもそも任意加入のPTA会費から、全校行事の必需品を買っているのがおかしい。全員に配る必要があるなら、学校徴収金で集めて購入すべきだ。息子の学校は直近に周年行事が控えており、息子には記念品が渡されない。PTAからの手紙には「他の児童が記念品を配られているときに、なぜ自分だけもらえないのか? と担任の先生に質問しないように家庭で説明しておいてください」とまで書かれていた。

そこまで非会員の子どもに気が回るなら、PTA会費を使うことをやめてほしい。「PTAに入っていないと行事で困る」なんて脅し文句は、さっさと使えなくすべきだ。

今回届いた学校からの手紙について、X(旧Twitter)でポストしたところ、大きな反響があった。任意加入であるはずのPTAの理不尽さに共感してもらえる声が多くあった一方で、「親なんだからPTAくらい入れ」「私は我慢して子どものためにやった」「PTAに入ってないなら不利益があって当然」「親のせいで子どもがかわいそうだ」など、PTAに加入しないことを批判する意見もあった。