明日はそれが普通になっていく

科学は私たちの想像を超えるスピードで進化し、過去の常識を覆してきました。だから、子どもが欲しい女性が、悩まずにすむ日も、近い将来訪れる可能性は高いでしょう。ただし、妊娠と出産に関する技術は、生命倫理=神の領域に足を踏み入れるために、ことは慎重に進めねばなりません。

歴史を振り返れば、ピル、人工中絶、出生前診断や体外受精、人工授精。みな、慎重に議論を重ねてルールが作られ、今では普通に、そうした技術と私たちは付き合っています。

40年でここまで来れたのです。これから先も必ず、ゆっくり着実に進歩をするでしょう。

上を向いて歩こう

世間では「子どもは早いうちに産むに越したことはない」といいます。それは確かに間違いではないことでしょう。

ただ、その風潮が強すぎて、今の女性は窮屈な生き方をしています。

男性とめぐり合う機会などなく30歳になってしまう女性は少なくありません。30歳を過ぎて不幸な別れをしてしまうこともあるでしょう。そうして独身で35歳を迎えた女性の多くは、心のどこかに「不安」や「焦り」や「自責」の気持ちを抱えているのではないでしょうか。

これでは人生で一番大切ともいえる30代が、とても重苦しくなってしまいます。そんな彼女たちに、伝えたいのです。

世に言われるほど、40歳って可能性がないわけじゃありません。そして、近い将来そのチャンスはもっともっと広がります。

これからの皆さんには、ぜひ、上を向いて歩いてほしいところです。

腕を広げて歩く女性
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです
海老原 嗣生(えびはら・つぐお)
雇用ジャーナリスト

1964年生まれ。大手メーカーを経て、リクルート人材センター(現リクルートエージェント)入社。広告制作、新規事業企画、人事制度設計などに携わった後、リクルートワークス研究所へ出向、「Works」編集長に。専門は、人材マネジメント、経営マネジメント論など。2008年に、HRコンサルティング会社、ニッチモを立ち上げ、 代表取締役に就任。リクルートエージェント社フェローとして、同社発行の人事・経営誌「HRmics」の編集長を務める。週刊「モーニング」(講談社)に連載され、ドラマ化もされた(テレビ朝日系)漫画、『エンゼルバンク』の“カリスマ転職代理人、海老沢康生”のモデル。著書に『雇用の常識「本当に見えるウソ」』、『面接の10分前、1日前、1週間前にやるべきこと』(ともにプレジデント社)、『学歴の耐えられない軽さ』『課長になったらクビにはならない』(ともに朝日新聞出版)、『「若者はかわいそう」論のウソ』(扶桑社新書)などがある。