ビジネスマナーができていない若手社員はどう指導すればよいのか。人材育成コンサルタントの松崎久純さんは「会社に取り組む意思があれば、対策を講じるのは難しくない。若手社員には、ビジネスマナーの研修として、本来のやり方はこうですと、演習を交えて説明することになる」という――。

オンライン打ち合わせの態度が悪い

長いパンデミックの期間を経て、社会人(特に若手の人材)のビジネスマナーの質が低下した気がします。たとえば、打ち合わせをオンラインで済ませるのは当たり前という態度。まだこれは許せるとしても、開始時、終了時のあいさつや、打ち合わせ中の振る舞いには、合格点を出せない人が多くなったと思います。このように感じる私は古いのでしょうか――50代の管理職の方からのご相談です。

パンデミックの間は、それまで毎年行われていた(新入社員研修などの)階層別研修も見送りになることが多かったのですが、実施された際には、「Web会議システムを使ったオンラインでの打ち合わせ」のマナーの指導を……という依頼が数多くありました。

どうやら会社内の多くの人たちから、研修の担当者に、そうした要望が相次いでいたようです。

どんな点が気になるのかを尋ねると、次々に例が挙げられます。

カメラに自分の姿を正面から映さず、斜め45度くらいから映して、聞くときも話すときも(自分のPCの画面を見たままで)、カメラの方を見ない人がいる。
話しながら平気で頭を掻いたり、到底仕事中に使うものと思えない巨大なマグカップで何かを飲み出す人がいる。
カメラに向いたまま、遠慮なくあくびをする人がいる。

一番若い社員が、ミーティングに最後に入ってきて、「私、今日は映像なしで、声だけで……」と言い、他の従業員が「???」となったことがある、等々。話は延々と続きます。

あくびをする女性
写真=iStock.com/topten22photo
※写真はイメージです

例外的に許されていたことが今も残っている

オンラインで打ち合わせなどをする慣行は、あっという間に一般的になりました。そして、同時にマナーに反する使い方も随分と横行しました。

パンデミックが終わった現在も、オンラインで打ち合わせをする慣行は引き継がれています。そして、「パンデミックの期間中、多くの人がオンラインでの打ち合わせに不慣れだとして、許されていたマナーの悪さ」も、残念ながら残ったままのようです。

今年度(2023年度)は、パンデミックがはじまった2020年以降に入社した社員向けに「オンラインでの打ち合わせマナー講座」を研修メニューに加えてほしいという依頼が多くあります。

パンデミックの間に入社し、入社当初からオンラインで仕事をするのが当たり前だった社員が、パンデミック期間中に例外的に許されていたこととわからず、不適切な振る舞いを続けている。そんなことが多いからです。