身長が高い男性ほど婚姻率も高いし、離婚率が低い
最後に身長と結婚の関係を見ていきましょう。
高身長の男性ほどモテるし、結婚できるというのは、「まあそうかな」と賛同していただけるかと思いますが、この点を明確に検証した学術論文は限られています。この点に関する日本の貴重な研究に、西南学院大学の山村英司教授らの論文があります(*4)。この論文では、「男性の身長が高いほど婚姻率が高いのか」そして「その影響は時代によって変化しているのか」という2点を検証しています。
分析の結果、興味深い2つの事実が明らかになりました。
1つ目は、身長が高い男性ほど婚姻率が高くなるだけでなく、離婚率も低下することがわかったのです。その影響の大きさは、身長が1%増加した場合、婚姻確率が約0.7%増加し、離婚確率が約0.2%低下するというものでした。
なぜ身長が高いと婚姻率が上がり、離婚率が下がるのでしょうか。これには2つの理由が考えられます。1つ目は、身長が高いほど所得が高くなるという比例関係が確認されており、結婚し続ける経済的なメリットがあるためです(*7)。2つ目は、身長が高いほど身体的な魅力が高いため、結婚し続ける心理面のメリットがあるためです。
身長の影響は近年強くなっている
分析によって明らかになった2つ目の結果は、身長が高い男性ほど婚姻率が高くなるという傾向が近年より強くなっているというものでした。
山村教授らは1965年よりも前に生まれた男性と、1965年よりも後に生まれた男性を比較し、後者の男性ほど身長の影響が強くなることを明らかにしました。
具体的には、1965年よりも前に生まれた男性の場合、身長の1%増加によって、婚姻確率が約0.6%増加していました。これに対して、1965年よりも後に生まれた男性では、身長の1%増加によって、婚姻確率が約1.1%増加していたのです。世代の違いによって、約1.8倍の差が生まれていました。
この分析結果に対して山村教授らは、女性の好みがより身長の高い男性に傾いたのではないかと指摘しています。
いずれにしましても、今でも高身長男性ほど結婚しやすいと言えるでしょう。