愛子さまは皇室に残られるか

もし内親王殿下や女王殿下方がご結婚やご本人の意思によって次々と皇室から離れられるような状態なら、そのような皇室にあえて嫁ごうとする国民女性は現れにくくなるだろう。まして、必ず1人以上の男子を生むことが事実上強制されるような、今の「男系男子」限定という皇位継承のルールが維持されたままなら、なおさらだ。

秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下は極めて険しいご生涯をたどられることにもなりかねない。

そうした最悪の未来を回避するために、現在のルールを見直せば、直系優先の原則によって“次の天皇”は敬宮としのみや(愛子内親王)殿下ということになる。しかしその前提として、はたして敬宮殿下ご本人は皇室にとどまるという選択をされるか、どうか。先の記事には、宮内庁関係者の以下の証言も収めていた。

「皇后になられてから雅子さまはとても変わられました。以前であれば、『適応障害』と診断されるような過酷な皇室という環境から、一刻も早く愛子さまを外に出してあげたいと思われるはずです。ただ、今の雅子さまは、皇后としての務めを果たし、国民の役に立ちたいとの強い想いを抱いていらっしゃる。愛子さまも、そんな母の姿に心から同調し、主体的に皇室に残る道を選ばれるかもしれません」

敬宮殿下はご成年をお迎えになった際の記者会見(令和4年[2022年]3月17日)で次のようにおっしゃられていた。

「これからも(天皇・皇后両陛下と)長く一緒に時間を過ごせますように」

これは、皇室におとどまりになられるお気持ちを示唆されたものではないだろうか。

それにしても、憲法上どうしてもやむを得ない制約はともかく、皇室を支えられる当事者の方々のご人格と尊厳がしっかりと尊重されなければ、そもそも天皇・皇室をめぐる制度それ自体の存続が至難となる。

高森 明勅(たかもり・あきのり)
神道学者、皇室研究者

1957年、岡山県生まれ。国学院大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得。皇位継承儀礼の研究から出発し、日本史全体に関心を持ち現代の問題にも発言。『皇室典範に関する有識者会議』のヒアリングに応じる。拓殖大学客員教授などを歴任。現在、日本文化総合研究所代表。神道宗教学会理事。国学院大学講師。著書に『「女性天皇」の成立』『天皇「生前退位」の真実』『日本の10大天皇』『歴代天皇辞典』など。ホームページ「明快! 高森型録