「ステレオタイプ」が私たち全員を不幸にする
こうしたステレオタイプは、シングルの人たち、そしてカップルの人たち全員を傷つけている。シングルの人たちが、結婚したことのない人であれ、離婚した人であれ、配偶者に先立たれた人であれ、ステレオタイプにひどく苦しめられていることは明らかだ。
だが、だからといって、結婚している人たちがうまくいっていることにはならない。世にはびこるステレオタイプのせいで、プレッシャーを感じ、自分が結婚という人生の重大事項に対して準備ができているかどうかさえもわからないまま、あるいはその人が正しい相手なのかどうか自信がない状態で、結婚してしまう人たちがいるからだ。
結婚したカップルが後になって、自分は間違った選択をした、あるいは早過ぎる決定をしたと気づくこともある。もちろん、そういう場合は、離婚が視野に入ってくる。離婚した人の場合、その70~80%が再婚するが、二度の離婚をする確率は一度目より高い(※2)。
だから、私は本書を執筆するにあたって、現代のシングルについてさまざまな側面から調査した。なかには、人々が独身である自分自身を受け入れ、場合によってはその状態を心から楽しんでいる事例の分析もある。読者の皆さんにはぜひそういったことも知ってほしい。
幸福の秘訣は「世間」に流されないこと
シングルの人たちのなかには、社会に蔓延するシングルに対する否定的な認識に洗脳されてしまい、結婚していない自分を責める人たちもいる。
自分のどこがいけないのか、わからないんですけど。
そんな言葉を、私は調査の過程で何度も聞いた。
本書で詳しく説明するが、このようなネガティブなステレオタイプに自分まで影響されてしまうか、それとも、そんな考え方を気にしないでいられるかの違いがそのまま、「シングルで幸せな人たち」と「シングルで不幸せな人たち」の違いになっている。
また、シングルに対するステレオタイプによる偏見ではなく、孤独感が、独身の人を性急な、質の低い結婚に走らせる例もある(※3)。
こういった誤った理由にもとづいた結婚は、よい結果にならないことが多い。実際、研究によれば、結婚している人たちは、パートナーがいるにもかかわらず、シングルの人たちと同じくらい孤独を感じている場合がある(※4)。
多くの人たちが、問題の根本にある孤独感に立ち向かうことを避けたまま、パートナーをもつことに頼ろうとする。その結果、孤独感はパートナーがいるかどうかとは関係のない、独立した問題であり、その問題の解決策は自分自身のなかに探すしかないことを結婚後にようやく理解するようになることが、さまざまな研究で明らかになっている(※5)。