20代、30代の買い付け額が増えている
一般NISAを中心にして買付額を増やしてきたNISAですが、つみたてNISAにも、ほんのわずかではありますが、光明が見えています。それは、20代、30代といった若い世代で、つみたてNISAを積極的に活用しようという動きが見られることです。
2019年3月末時点におけるつみたてNISAの口座数と買付額は、次のようになっています。カッコ内の数字は買付額です。
30代……31万7800口座(354億1806万円)
40代……33万2217口座(385億2040万円)
50代……22万8623口座(242億5071万円)
60代……12万9679口座(134億8778万円)
70代……6万1551口座(53億2314万円)
80歳以上……1万439口座(6億385万円)
次に、2022年9月末時点の数字を見てみましょう。
30代……195万5982口座(7387億808万円)
40代……169万3327口座(6401億1925万円)
50代……116万4439口座(4154億9329万円)
60代……49万7870口座(1884億1362万円)
70代……15万8801口座(603億2719万円)
80歳以上……2万5358口座(65億7804万円)
口座数と買付額の増加率を計算すると、次のようになります。
30代……515.47%(1985.68%)
40代……409.70%(1561.76%)
50代……409.32%(1613.32%)
60代……283.92%(1296.92%)
70代……157.99%(1033.30%)
80歳以上……142.91%(989.35%)
20代、30代の口座数も買付額も大きく伸びていることが見てとれます。
2019年3月末といえば「老後2000万円問題」が噴出する以前ですから、「老後2000万円問題」によって老後のための資産形成に関心を持った若い世代が増えたのではないかと推察されます。
これは、決して悪い話ではありません。老後のための資産形成は長期で行うものですし、若い年齢の時にスタートすれば、その効果は非常に大きなものになります。
もちろん、50代の人たちも、これから20年くらいの時間をかけて資産形成を行えば大きな成果が期待できますが、もし20代、30代の頃から真剣に取り組めば、その成果はさらに大きなものになるでしょう。
つみたてNISAの口座数や買付額が20代、30代で大きく伸びているのは、とても喜ばしいことだと考えています。
1963年生まれ。東京都出身。明治大学卒業。1987年、現在のクレディセゾンへ入社。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用のほか、外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。その後、クレディセゾン インベストメント事業部長を経て、2006年にセゾン投信を設立。2023年6月に代表取締役を退任。セゾン文化財団理事。著書に『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)などがある。