リスクを減らす「業種分散」「銘柄分散」の視点も

リスクを減らす観点で言えば、業種の分散も大切です。同じような業種の銘柄は、値動きが似る傾向にあります。仮にある業種が値下がりしても、他の業種の値上がりでカバーする「分散投資」の効果が得られます。

景気や金利の動向に応じて、注目される業種は変わります。景気が弱いときには、景気に左右されない不況に強い銘柄が好まれます。景気が良くなるときにはハイテク株、金融株、工業株、消費循環株(自動車や宝飾品などの高級品)、素材株などが好まれます。

【図表3】景気・金利と注目される業種の関係

高配当株・連続増配株に投資する方法は、個別株だけではありません。ETF(上場投資信託)を活用すれば、高配当株・連続増配株にまとめて投資できるものがあります。

ETFは1本で複数の投資先に投資するのと同じ効果が得られるので、リスクの分散に役立ちます。保有している間にかかる手数料(経費率)も安くなっています。

高配当株・増配株投資で人気のあるETFは図表4の通りです。

【図表4】主な高配当株・増配株ETF

新NISAをフル活用して、非課税で配当金を受け取ろう

高配当株・増配株に投資する際には、2024年から始まる新NISAをぜひ活用しましょう。NISAは、配当金、分配金、売却益にかかる20.315%の税金がゼロにできる制度です。

2024年から始まる新NISAでは、現行のつみたてNISAと同様の投資ができる「つみたて投資枠」と、一般NISAと同様の投資ができる「成長投資枠」を併用できます。株式投資は成長投資枠でできるようになります。

新NISAでは、非課税期間が無期限になりますので、税金がかからず、配当金や分配金が手に入る状態をつくれます。また、NISAではいつでも換金して自由に引き出せるため、資産の取り崩し運用とも非常に相性がいいです。

ただし、新NISAで米国株や米国ETFに投資しても、米国株・米国ETFの配当金には米国内で10%の税金がかかる点には注意が必要です。

2024年から始まる新NISAは、高配当株投資にぴったりのお得な制度です。「資産形成期」から「資産取り崩し期」に変わるタイミングでぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

頼藤 太希(よりふじ・たいき)
マネーコンサルタント

株式会社Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年にMoney&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『Mocha(モカ)』、YouTubeチャンネル『Money&YouTV』、Podcast『マネラジ。』、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)など書籍90冊、著書累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。