雑談力を上げる2つのポイント

では雑談力を上げる主なポイントを2つご紹介します。

①会話のラリーを続ける

コミュニケーションの世界では、言葉のやり取りを通じて気持ちの交流を増やすことで、心理的な距離が縮まり関係性が深まると言われています。そのため、雑談は「会話のラリーを続ける」ことが大事なポイントになります。ですから、雑談では、面白さ、有益さ、結論を出す必要はありませんし、多少間違っていても揚げ足を取らずに聞き流すなど、内容より会話のラリーを続けることを優先しましょう。

次に、会話のラリーを続けやすくするために、相手が話しやすい話題を選ぶことです。それには、「相手にとって身近なこと」について質問を投げかけるといいでしょう。

雑談が苦手な人がストレスに感じるのが「沈黙」です。この沈黙を何とかしたくて、ついつい思いついた政治経済、時事ネタを咄嗟に話し出してしまうことがあります。しかしあまりに唐突な話題だと返答に困って会話も弾まず、また沈黙……、と逆効果になることがあります。

雑談は会話のラリーで心理的距離を縮めるためのものですから職場環境、趣味など話しやすい身近な話題を選ぶのが正解。もちろん、沈黙解消にも効果的です。

②感情を添える

2つ目の雑談のコツは、情報だけではなく、「感情」をやり取りすることです。雑談ネタとして情報交換もいいのですが、実は情報のやりとりだけでは心理的距離はあまり縮まっていません。そこで、雑談の際には、あなたの感じた事や、相手に対する配慮の言葉など、プラスαの一言を添えてみましょう。顔見知り程度の役員でも、こうした雑談を重ねる毎に、あなたの人となりが何となく伝わって、徐々に心理的な距離が縮まり、仕事上でもプラスの心理的バイアスがかかりやすくなるでしょう。

オフィスでコミュニケーションをとる男女
写真=iStock.com/Vadym Pastukh
※写真はイメージです

無難な「天気ネタ」でも好印象にするテクニック

では、ここからは具体的な雑談テクニックを見ていきましょう。

◆天気ネタは相手への配慮をプラスする

無難に済ませたい時に使うのが雑談の定番「天気ネタ」ではないでしょうか。「今日は朝から暑いですね」「梅雨でジメジメしていますね」これだと相手によっては「ああ、そうだね」程度の返事で、そこで会話が終わってしまいます。

そこで、天気の話題を振る時には、雑談のコツ「プラスαの一言添え」を活用しましょう。

【自分】「おはようございます。今朝はいいお天気ですね」

【相手】「ああ」

【自分】「でも夕方から雨が降るらしいですよ。お帰りの際、どうぞお気を付けてください」(または「明日から寒くなるみたいですよ。体調お大事になさってください」)

このように、相手への配慮ある言葉をひとこと添えると好印象です。場の空気もよくなり、会話が続きやすくなります。

また、役員であれば、若い世代の流行などにも興味をお持ちのようなので、最近のトレンドをお伝えしても喜ばれます。

例)「そういえば、この近くに新しく出来たベーカリーはご存じですか?」「連日、若い人たちの大行列で、なんと1時間待ちだそうです。驚きました」

先程の天気ネタ同様、話題が変わっても「嬉しかった、驚いた」などの感情を一言添えて話すと、関係性作りには効果的です。ちょっとした雑談ですが「新しい情報に敏感」、「スイーツ好き」、というあなたの人となりも伝えることができます。

さらに会話が弾み、「なぜそんなに人気なの?」と質問されたら「私も気になっているので今度並んで偵察してきます。またご報告します!」と返しておけば、次回の雑談にも繋がります。