女性市場の現状は、企業の働き方改革にも左右される?
企業の女性活躍施策に詳しい、ジャーナリストの白河桃子さんは、「男性中心で、しかも昭和の男性OS(=古い働き方、評価など)で動いていると、社内で女性の視点や意見が反映されにくい」と指摘する。
2023年1月に「プレジデント ウーマン」編集部で実施したオンラインアンケート調査(※)の結果によると、女性管理職が多い医療・介護・福祉業界や、比較的専門性が高い業界だけでなく、マスコミ・印刷、金融・保険などの業界でも、女性だから意見が反映されないというようなことは少なくなっているようだ。しかし、まったく逆の傾向が見てとれる業界もある。例えば商社では、女性の意見は「大いに反映されやすい」という回答はゼロ。「あまり反映されない」と「まったく反映されない」を足した合計値も全体の過半数に達している。この値は、製造、建設・不動産の2業界もおよそ35%と高い。
※プレジデントウーマン編集部による「業界別・働く男女1000人調査」(実施期間:2023年1月26~31日 有効回答数:1069)
では、なぜ女性の意見が反映されにくいのだろうか。「あまり反映されない」「まったく反映されない」と答えた人に理由を選択してもらったところ、もっとも多かったのは「男性中心の風土」という回答だった。こうした風土が今も続いている組織について白河さんは、「働き方や評価制度が、昭和の成功体験をもとにした古い男性OSに基づいている組織では、女性はどうしても不利になります。長時間働ける人や休まない人が評価されがちですし、時短の人は出られない時間帯の会議や酒席、喫煙室などで情報共有や意思決定が行われることもしばしば」だという。
また、日本の女性管理職比率がなかなか上がらない理由については、本人が管理職になりたがらないからという意見もある。だが、白河さんは「なぜそうなのか、その原因を考えるべき。女性の意欲を上げたいなら、制度をつくるだけ、励ますだけではだめです。女性活躍は、女性が仕事と家庭を無理なく両立するための働き方改革や、古い男性OSをアンインストールするための風土改革とセットで進める必要があるのです」という。
男性中心企業では、女性向け商品の開発であっても、女性のリアルな声よりも、男性が抱く理想の女性像を取り入れてつくられるモノが多くなる。「女性用はピンク」「女性はスカート」など、「女性はこうだ」というバイアスでつくられてしまうからだ。