未来のためにバイアスがあらわれやすい言葉を知る
こんなこと言っていない? 無意識に言ってしまいがちな言葉に、あなた自身の「バイアス」が潜んでいる──。
「アンコンシャス・バイアス」は言葉どおり「無意識」なので、自分では気づきにくいもの。知らず知らずのうちに、自分の都合を優先したり、自分の要望をかなえようとしたりするときに、「決めつけ」や「押しつけ」といった表現となってあらわれやすいのです。
とくに相手を属性や特質で決めつける言葉はハラスメントにもつながるので注意が必要です。また、「普通は○○」という“価値観”や、「できっこない」といった“能力”の決めつけも同様です。価値観も能力も人によって違って当たり前。自分を基準に相手も「こうだ」と決めつけると、思いがけず相手を傷つけてしまうこともあるので気をつけたいものです。
また、自分の“解釈”や“理想”を押しつけるニュアンスの言葉も、信頼関係に影響します。自分自身のふだんの言動に意識を向けてみることも大切です。
アンコンシャス・バイアスへの対処法
バイアスの影響は多岐にわたる。だからこそ、自分自身に潜むバイアスへの対処法を知ろう。
たとえば、上司から昇進を打診された際「私には無理です」と言う。また、部下に対して「あの人には無理だ」と考えるなど。前者は、自分のキャリア形成の芽を自ら摘んでしまい、後者では、部下の新たな能力を開発できなくなります。「よかれと思って」配慮したことでも、相手が本当に「ありがたい」と思うかどうかは別。一人一人受け止め方は違います。組織でいえば、評価、昇格への影響や、風通しのいい対話ができなくなる、新しい商品やサービスが生まれないなど、個人では、キャリア開発・成長の機会を失うなどの弊害が生まれます。アンコンシャス・バイアスによるこうした影響を防ぐための対処法は3つあります。
まずは、アンコンシャス・バイアスに気づこうとすること。“私にはアンコンシャス・バイアスはない”という声も聞きますが、それ自体が思い込みかもしれません。だから、常に自分にも「あるかもしれない」と意識すること。次に「これは決めつけや押しつけではないか?」と自分自身の言動を振り返り、相手が発するサインに目を向け、見逃さずに対応すること。
最後は、とっさにこうだと思ったことでも、確認したり、対話したりすることで「実際は違った」と思い込みを「上書き」すること。アンコンシャス・バイアスは決してなくすことはできませんが、上書きして更新できます。過去の経験から培われたバイアスだからこそ、新たな経験で意識を変えていくのです。アンコンシャス・バイアスは気づかないことでネガティブな影響をもたらしますが、気づき、上書きすることで、未来へと一歩を踏み出せます。