朝食で、太りにくくなる理由

朝食をとるとどんないい効果があるのか、同じ食事でも、昼食、夕食、夜食でとった場合と何が違うのか、具体的にみていきましょう。

① 体内時計をリセットする

朝食は、おもに肝臓にある抹消時計をスタートさせる働きがあります。抹消時計がリズムよく働き、代謝にかかわるしくみが効率的に働き出すことによって、日中の活動期は太りにくい、メタボになりにくい状態をつくります。

つまり、本来、体がもっている働きを目覚めさせ、十分に発揮させるきっかけをつくっているのが、朝食と言っていいでしょう。

② 体温を上げやすい

食べながらうっすらと汗ばんでくることがあります。特に香辛料の利いた辛いものや温かいものを食べると体がポカポカしてきます。これは、食事をとったときにエネルギーが燃やされて体温が上がる「食事誘発性熱産生」というしくみによるものです。

人が消費するエネルギーは、運動によるエネルギー消費が30%程度、呼吸や内臓など生命維持のために消費する「基礎代謝」が60%といわれています。「食事誘発性熱産生」は、残りの10%を占めています。

この熱産生は、同じ食事内容でも、夕食でとったときより、朝食のほうが大きいことがわかっています。熱産生はタンパク質をとったときがいちばん大きく、次に糖質で、脂質はあまり体温を上げません。

朝食にタンパク質や糖質をとると、それだけで体温が上がり、エネルギーを消費するということです。

体重計に右足をのせる女性の足元
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです
③ 肝臓の代謝がダイナミックに起こる

肝臓では、食事からとった栄養素を利用しやすい形に分解・合成し、必要に応じてエネルギーとして使ったり、肝臓や筋肉にたくわえたりする働き(代謝)をしています。

朝食では、この代謝の働きがダイナミックに起こることが実験で確認されています。

同じ食事内容の朝食と夕食のあと、30分、60分、120分で血液を採取し、そのなかに含まれる代謝物を測定すると、朝食では代謝によって起こる物質が非常に多いことがわかったのです。

この代謝の働きは、朝食の前に長い空腹時間があると、より活発になります。これは朝食だけの特徴で、昼食や夕食の前に長い空腹時間をとったとしても、代謝は活発になりません。

④ 朝食の血糖値は上がってもすぐ戻る

同じ内容の食事をとったあとの血糖値についても、朝食、昼食、夕食で違いがあります。

血糖値が高まりにくく、すぐに戻りやすいのは朝食です。次いで昼食、夕食の順になります。

朝食ではインスリンが効率的に効くので、血糖値が速やかに戻りますが、夕食では、睡眠を促すメラトニンの影響でインスリンの効きが悪くなります。そのうえたくさん食べてしまうと、高血糖の状態が続き、これがインスリンによって脂肪に変えられ、肥満の原因になっていきます。