※本稿は、内藤誼人『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
人間関係に濃さや深さは関係ない
「上っ面の人間関係ではダメだ」
「人間関係というのは、濃さや、深さが大事なんだ」
もし読者のみなさんがこのように考えているのなら、それは間違いだと申し上げておきましょう。人間関係というものは、うわべの付き合いでも十分なのです。
もちろん、濃密な人間関係を否定するものではありません。ものすごく親密な付き合いができるのなら、そうしてください。
だけど現実問題として、職場の人や、ご近所の人たちと、そんなに濃密な付き合いができるものではありません。
付き合うことの労力やコストを考えれば、どうしてもうわべの付き合いにならざるを得ないのです。
ですから、かりにうわべの付き合いばかりをしているのだとしても、そんなに気にしないことです。それが当たり前なのだと割り切ってしまいましょう。
うわべの付き合いで幸せなのか
ちなみに、うわべの付き合いでは、満足が得られないのかというと、そういうこともありません。
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のギリアン・サンドストロムは、200名を超える大学生に、講義の前と後に、どれくらいクラスの人とおしゃべりするかを記録しておくように伝えました。どんなに短い挨拶でも、おしゃべりしたということでカウントしてかまわないことになっていました。その一方で、「どれくらいしあわせを感じるのか」の記録もつけてもらいました。
その結果、講義の前や後に、ちょっぴりクラスメートとおしゃべりするだけでも、おしゃべりした日には幸福感が高まることがわかりました。
親しく付き合うような強い絆などなくとも、うわべの付き合いからでも、私たちの幸福感は十分に高まるようなのです。
ですから、親しく付き合う友人がいないからといって、嘆く必要はありません。うわべの付き合いでも、それなりにしあわせを感じられているはずなのですから。
「人間関係はうわべで十分」と割り切ると、心がラクになります。
なにしろ、知っている人に出会ったら、「こんにちは~」と挨拶するだけでいいのです。それだけで通りすぎてかまいません。
長く話す必要はありませんし、相手の相談に乗ってあげる必要もありません。たまには世間話をしてもかまいませんが、したくなければそれもしなくていいですよ。
「なんだ、そんなことだけでいいんだ!」と思えば、人間関係もそんなに苦痛にならないものです。