忘れると税負担軽減のメリットがゼロに

ケース6.iDeCoをはじめたが年末調整をしていない人

年金づくりのためにiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している人は、掛金を全額、所得から控除できます。

年末調整で手続きできるのですが、最初の拠出が10月以降だった人や、拠出が年1回の場合は年末調整では手続きができず、確定申告が必要です。

年収600万円の会社員が毎月2万円の掛金を拠出した場合、所得税と住民税で4万8000円軽減されるなどの例があります(社会保険料控除などによって異なる)。ちなみに25年間同じ条件で継続すると、税の軽減額は120万円にのぼります。税負担軽減のメリットを受けながら老後資金づくりができるのがiDeCoの魅力なので、手続きを忘れないよう、注意してください。

ふるさと納税の申告が必要に

ふるさと納税を利用している人も多いでしょう。寄付した自治体が5カ所以内なら「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用することで確定申告は不要です。

ただし、住宅ローン控除を受ける、医療費控除を受けるなど、なんらかの理由で確定申告する場合は、ワンストップ特例制度を受けることはできず、確定申告の際にふるさと納税についても申告する必要があります。忘れないよう、気を付けてください。

このように、「確定申告で得するチャンス」は意外とたくさんあるのです。

構成=高橋晴美

井戸 美枝(いど・みえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)

関西大学卒業。社会保険労務士。国民年金基金連合会理事。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください 増補改訂版』(日経BP)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)、『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)など著書多数。