控除できるのに見逃す人が意外と多い項目2つ

ケース4.子どもの年金保険料を払った人

所得税が課せられるのは、年収から社会保険料や生命保険料控除といった各種の控除を引いたあとの金額です。したがって控除できるものをもれなくピックアップし、年末調整や確定申告で手続きするのが、税負担の軽減につながります。控除できるのに見逃している人が多そうなのが、「子どもの国民年金保険料」です。

20歳になると国民年金保険料を支払う必要があります。学生について支払いを猶予してもらうこともできますが、親御さんが支払っているケースもあります。その場合、支払っている人が、負担した保険料全額を社会保険料控除として計上する(所得から差し引く)ことができます。昨年の保険料は年間で約19万9000円でした。税率20%なら、約4万円、税負担が軽減されます。

日本語で「国民年金」と書かれたニュース見出し
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ケース5.低収入の親を扶養した人

もう1つ、見逃しがちなのが、「扶養控除」です。

親と同居して扶養している、別居している親に定期的に仕送りをしている、というケースで、親の収入が一定額以下の場合には、親を「扶養」に入れ、「扶養控除」を受けることができます。

対象になるのは、親が65歳以上で収入が年金のみなら、年金額が158万円以下の場合です。控除額は親の年齢によって異なり、65~70歳では38万円(住民税の計算では33万円)、70歳以上では、同居なら58万円(同45万円)、別居では48万円(同38万円)です。

実の親でも、義理の親でもいいので、共働きの場合は、夫か妻、年収の高い人が控除を受けたほうが有利です。38万円の控除を受ける場合、税率10%の人なら軽減額は3万8000円、税率20%の人なら7万6000円です。年収が高い人が控除を受けた方がいいのは、医療費控除や、子どもの国民年金保険料についての社会保険料控除でも同様です。