飲み会や喫煙ルームの代わりになり得るもの

では、日常的なコミュニケーションは、どう取ればいいのでしょうか。男女問わず、気軽に飲み会に誘ったり、喫煙ルームで煙草を吸う人だけで雑談、というわけにはいかない時代になりましたから、どうしてよいかわからず悩む上司の方も多いようです。飲み会や喫煙ルームコミュニケーションの代わりに、会社の中で何かやるのであれば、飲み物やおやつなどを置いたコーナーをつくって、そこにラフに集まり、休憩時間に話すのもありでしょう。

木下明子『図解!ダイバーシティの教科書』(プレジデント社)
木下明子『図解!ダイバーシティの教科書』(プレジデント社)

実際、女性活躍先進国のフィンランドには、フィーカというコーヒータイムの風習があり、会社の中でも休憩時間にお菓子をつまみながら、雑談するそうです。とにかく普段から声をかけ合って、コミュニケーションを取っていれば、今の仕事での成果だけでなく、ライフイベントを含めた将来のビジョンを共有し、すり合わせていくこともできますし、実際、部下の身に急な変化が起こっても、早く気づき、スムーズに対処することができるでしょう。

ちなみに「結婚・出産の予定や、本人の体調、親の介護など、仕事にも影響しそうなプライベートの動向について少しは把握しておきたいけれど、今は『彼氏はいるのか』『結婚や子供はまだか』などと聞けば、ハラスメントになりかねないのでどう聞いていいのかわからない」と言う上司の方もいます。

こういう場合は、男女関係なく「プライベートで何か心配なことはないか。何かあればいつでも相談してね」という感じで伝えておくのがよいでしょう。個人差はあるでしょうが、普段からの信頼関係があれば、ある程度開示してくれるはずです。

木下 明子(きのした・あきこ)
プレジデント ウーマン編集長