何がマンション価格を上昇させたのか

つまり、約10年にわたりマンション価格は上昇を続けているというわけだ。

その理由をざっくり見てみると、アベノミクスに端を発した日銀の金融緩和策、東京オリンピック・パラリンピック(以下、オリパラ)決定による建設需要の高まりにもかかわらず、建設業界の人手不足による人件費増や、建築資材・燃料費などの値上がりによって建築費が上昇したこと。

また、インバウンドの増加も、商業施設との用地取得の競合により、地価上昇に拍車をかけた。

さらに、マンションを「つい棲家すみか」とする世帯の増加や、超パワーカップルと呼ばれる共働き世帯の増加、バブル期とは違う低金利による住宅ローン返済の負担減、さらには売り急がないデベロッパーの姿勢もこの動きを後押しした。

こうした地価・建築費の上昇要因、社会情勢の変化という複合要因により、マンション価格は上昇を続けているのだ。

なお、2020年からは新型コロナウイルス感染症の拡大で、若干の調整局面を迎える場面もあったが、2022年の公示地地価は暴落することなく高止まりが続いている。

翻弄され続けた消費者

マイホームは人生で最も高い買い物といわれる。そのため、「住宅を買おう」と検討している人にとって、「いつまで価格が上がるのか」「待っていれば価格は下がるのか」というのはきわめて関心の高い事項であろう。

一方で、マンションの売却や買い替え検討者は、「いつまでに売れば最高値で売ることができ、得できるのか」と様子見している人も多い。

思い出してほしい。「オリパラ後に不動産価格は大暴落する。購入するならそれからがよい」という説がちまたをにぎわせていたことを。実際には、大暴落どころか急騰している。

また近年は、購買判断を迷わせるさまざまな情報が世にあふれている。いわく、「消費税増税前がいい」、あるいは「増税後がいい」「住宅ローン控除の年数などの拡充がある時期がよい」「金利が上昇するから、その前がよい」……。購入希望者にとっては、いったいいつ購入するのがベストなのか、翻弄される時期が続いた。

新築・中古にかかわらず、多くの物件を回遊魚のごとく内見してみたものの、どうも決め手に欠ける気がする。そこで、「価格が高いから」と見送ったところ、価格はさらに高騰し、「あのとき思い切って買っておけばよかったのに……」と後悔している消費者も多いのではないか。