もし、じっくり見るのは面倒、あるいは見てもよくわからないというのなら、最低限次の点は確認しよう。
騒音などのトラブルはないか。長期懸案事項はないか。管理費や修繕積立金が近々上がる予定はないか。
駐車場の有無と使用料の収支も聞くべきだ。駐車場は、車の所有にかかわらず所有者に影響することが多い。ペット飼育、リフォームのルールなど、生活するうえで必要になる項目も把握しておきたい。
トラブルは、その原因が管理組合運営にあるケースと、住人たる所有者にあるケースとがある。いずれにしても、少しでも綻びがあると悪い要素がジワリジワリと積み重なっていくのがマンション管理というものだ。管理状況をよく把握してから購入したい。
急増する中古マンションの在庫戸数
先述の通り、数年程度はマンション価格の高値が続きそうである。ただし、徐々に価格は落ち着いていくだろうとの見解が強い。きわめて端的にいうと、需要と供給バランスが崩れるタイミングがやってくる。
空き家率の上昇や少子高齢化は今後も進む。とくに、団塊世代の持ち家の所有率は80%を超えるといわれるが、相続により既存(中古)マンションが市場に大量放出されるようになるだろう。
すでに中古マンション在庫戸数は急増している。とくに東京都下や神奈川県、千葉県では、前年同月比3割以上の成約件数の減少も見られる。
いままでは、新築マンション価格に牽引されるように中古マンション価格も変動していたが、中古マンション価格に新築マンション価格が引っ張られる状況になっていくと思われる。
中古マンション狙いなら、数年程度の様子見もあり
個人的には、中古マンション狙いなら、数年程度の様子見もありかと思う。
もし、気に入った物件を見つけたが、やや高くて、「値引きを……」と言い出しにくいというのなら、「とても気に入りました。少し予算オーバーなので歩み寄りをお願いできませんか」と言ってみるのもいい。
また、新築マンションなら売れ残り物件、中古マンションなら売り急ぎ物件などを狙うのも手だ。
どんな情勢でも、人はどこか住む場所が必要である。最も優先すべきは自分と家族のライフステージに合った住まいを選ぶこと。価格ばかり見て、安物買いの銭失いにだけはならないようにくれぐれも注意したい。
第1回マンション管理士試験に合格。新築などマンショントレンドのほか、数多くの実務経験、調査から既存マンションの実態に精通する。著書に『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)、『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)など多数。