レシートをチェック、深夜に長時間の説教
妻の証言
・夫は、家事や育児を担当せず、ワンオペだった。
・ところが、家事や育児についてのささいな点についても、夫は妻を非難し、説教した。カキ鍋にカキを入れるのが早すぎる、部屋の隅に埃がある、子どもの箸の持ち方がおかしいなど、ささいなことでも、「なぜ、ちゃんとできないのか」「何度言えばわかるのか」と質問されることが日常だった。
・生活費は、スーパーなどのレシートの提出と交換で現金をもらった。夫は週末、その週のレシートを点検し、1点で1000円以上の商品については、なぜそれを買ったのか説明を求められ、浪費と非難された。
・週に2、3回は夜11時ごろから、時には早朝4時ごろまで、延々と説教された。特に、お金を使い過ぎていると叱責されることが多く、説教に疲れて謝罪しても許してもらえなかった。
・子どもの夜泣きで起こされると、「俺は明日仕事なんだよ」と怒鳴られた。
・第2子が生まれてから数年間悩み、意を決して半年ほど前に法律相談に行き、夫の言動がモラハラだと知った。
夫の反論
・夫婦でよく話合い、議論が長くなることもあったが、妻も言いたいことを言っており、決して一方的ではない。
・節約に努めたのは、子どもたちによりよい教育を受けさせるためであり、妻も理解しているはず。
・怒鳴ったことも暴力を振るったこともなく、虐待したかのように言われるのは心外。
・不満があれば、言ってくれれば、直すべきところは直したのに不満をはっきり言われたことはない。
レシートチェックや長時間の説教が決め手に
離婚弁護士として、モラハラが絡む裁判で一般的に離婚が認められるかどうかを言うのは難しい。それぞれのケースには、特有の事情があり、判決は、裁判官の人生観や家族観、それぞれの弁護士の弁護活動、小さい子どもの有無など家族構成、本人の証言の巧拙などにも大きく左右される。
Aさんの事例では、家計費のレシートチェックや長時間の説教が決め手となって、この「婚姻は継続し難い」と認められ、離婚判決となった。