景気に左右されない「稼ぐ力」を手に入れる

1億円の貯蓄があっても将来が不安な人もいれば、貯蓄は少なくても気にしていない人もいます。後者には、たとえば、医療関係や、アナリストなど金融関係の有資格者で、いつでも働けば自分が思うような収入が得られるとか、株式投資をしていて定期的に配当金が振り込まれるなど、何かしら収入を得るすべを持っている人が多いようです。

今のような先行き不透明な時代だからこそ、「経済状況や景気動向に左右されず、お金を稼げる力」は、生きていく上での自信につながります。

企業経営においても、好景気時代には「必要以上に借り入れを恐れていては成長はない」という考え方が支配的でしたが、先の見えない今は「自己資本重視の健全経営」に舵を切る企業が増えています。

勉強する女性の手元
写真=iStock.com/kazuma seki
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自己研鑽は何歳からでも遅くない

ライトFIREは、言うなら、自分だけの小さな企業を経営するようなものです。個人もしっかりした自己資本を築いておけば、FIRE後の選択の幅が広がり、安心して小さなチャレンジを続けることができます。今のうちに、自分の収入を得る手段になりそうな得意分野や、将来性の高い分野のスキルを磨いておきましょう。

井戸美枝『お金がなくてもFIREできる』(日経プレミアシリーズ)
井戸美枝『お金がなくてもFIREできる』(日経プレミアシリーズ)

会社で法務や税務、総務畑を経験してきた方なら、中小企業診断士、税理士、社会保険労務士などの資格を取得しておけば、ライトFIRE後も会社員時代の経験を生かして働きやすくなるでしょう。自己研鑽は何歳からでも遅いことはありません。

ただし、自己資本を高めるには、それなりの時間がかかります。懸命に勉強して前述のような資格試験に合格したとしても、実際にマネタイズするには、誰に対しどんな業務を行うのかマーケティングをしたり、人脈を生かして営業活動を行ったりといった準備期間が必要になります。

ライトFIRE後もマイペースで長く働き続けるためには、長期的な視点でコツコツと自己資本形成に取り組むことが大切です。

お金の貯め方や使い方のマインドチェンジについてお話ししてきましたが、これらを頭の中で理解しただけでは実効性は望めません。

何であれ、重要なのは行動に移すことです。自分で手を動かすことによって初めて、そのアプローチが「自分の性格」や「ライフスタイル」に合ったものか、心理的・時間的に負担にならないかがわかります。トライして「これはダメだ」と思ったら、後はやらなければいいのです。

一番いけないのは、この手の本を読んで「やらない理由を探す」ことです。考えるより前に行動しましょう! 3日経っても何も手をつけていないとしたら、その方法はあなたに合ったものではないのかもしれません。

井戸 美枝(いど・みえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)

関西大学卒業。社会保険労務士。国民年金基金連合会理事。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください 増補改訂版』(日経BP)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)、『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)など著書多数。