早期リタイアをして自由に生きていきたいと考える人は多い。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんは「FIREで幸せになれるのは本人だけではありません。最も大きな恩恵を受けるのはその子供や孫たちなのです」という――。

※本稿は、井戸美枝『お金がなくてもFIREできる』(日経プレミアシリーズ)の一部を再編集したものです。

リビングルームで木製ブロックを使って遊ぶ子供たちと、見守る両親と祖父母
写真=iStock.com/Yagi-Studio
※写真はイメージです

嫌な人と顔を合わせることなく好きなように生きるには

FIREはFinancial Independence, Retire Early の略です。FIは経済的自立、REは早期引退、2つの考えを連ねたものです。ここまではご存じの方も多いでしょう。

実は、FIとREは関係していますが、まずはFI(経済的自立)を確立した後の選択肢の1つとしてRE(早期引退)があるという関係です。

Financial Independence――経済的自立、お金での独り立ち。

私がお金に目覚めたのは23歳のときです。

学校を卒業し正社員として働いたのですが、体を悪くして会社を辞めました。人間関係が辛く、会社で働くことができなかったのです。当時は両親と一緒に暮らしていたので生活に困ることはありません。しかし、「これから先どうしよう」と思い、嫌な人と顔を合わせたり嫌な場所に行くこともなく、自分の好きなように生きるにはお金はどれくらいあればいいのかを考え始めました。これが、Financial Independence(経済的自立)への出発点となったわけです。

いつでも早期引退ができるだけの金銭的な準備を

FIREを手に入れたいと思うなら、まずは自分自身をよく知ることです。

ごく限られた人だと思いますが、会社や組織団体のトップとなることに生きがいを感じ心身共にイキイキと活躍できる人には、FIREは問題にもならないと思います。

ほとんどの人は、若いときに自分自身を正しく捉えることはなかなか難しいものです。私も、自分自身を冷静に客観的に見つめることができるようになったのは最近のことです。人生まさに紆余うよ曲折、限りなく曲がりくねっています。そのためにも、まずはFI(経済的自立)の実践的な手法と知識を身につけ、いつでもRE(早期引退)できるだけの金銭的な準備をしておくことが重要となってくるのです。

「こんな会社、辞めてやる!」という踏ん切りをつけることができるのは、お金の裏付けがある場合だけ。なければ単なる冒険に終わってしまいます。