生涯お金に困らない3つの原則

ここで、生涯を通じてお金に困らないための3つの原則をお教えしましょう。それは、

①収入の範囲内で生活をする
②借金はしない
③この2つの原則を一生守り通す

です。

いたって当たり前のことですが、問題は、この原則を実践するのは一人ひとりの人間ということです。この世に自分という人間は一人だけです。性格や身体的特徴が異なるのと同様に、経済的自立、お金での独り立ちは、人によって「答え」は違っています。兄弟姉妹であっても、同じ「答え」はありません。ですから、FIは正確にはPersonal Financial Independence(PFI)――個々人固有の経済的自立なのです。

自分自身に合ったものは、自分の手でつくり上げるしかありません。そこで、他者の視点や指摘に耳を傾け、自分のことをより深く知り、自分に合った手法をつくり出していく必要があるのです。

家の購入を考えているカップル
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

お金に対する「暗黙知」を反復練習

お金がなくてもFIREできる』では、「ライトFIRE」の考え方、実践術を解説していますが、もうひとつ大きなメッセージをこめています。それは、富裕層と思われる方々が家族や親族、親しい人たちの間で共有しているお金に対する「暗黙知」に気づいてほしい、知ってほしいということです。

暗黙知とは、「暗黙」の了解事項です。たとえば、そのひとつにお金のことは人前では決して話さないということがあります。目指そうとしている「お金」を持っている人からまず学ぶべきは、この生活習慣と化している暗黙知です。

こうした暗黙知を持たない場合、意識して学び、生活習慣として日々の生活の中に無意識のレベルまで落とし込む必要があります。そのために有効な方法は、何度も繰り返す、定期的に見直しを行いながら身についたかを確認していくことです。

本書で紹介している事柄も暗黙知になるものですから、手元に置いて折りに触れては実践できているかを確認してください。

これは反復習得するしかありません。時間もかかりますが、身につけることができれば、生涯のものとなります。水泳と同じで、小さい頃から親がしつけてくれれば小学校に上がっても体育の授業で苦労することはありません。一方、泳げない子は小学校での努力が求められるわけです。泳げることによって海を怖がることもなく、水深30メートルの世界やヨット乗船など新たな体験をすることもできます。