学歴でみた場合のカップルの類似性は低下している
結婚したカップルの類似性を測るためにさまざまな指標が用いられてきましたが、代表的なものに学歴があります。学歴のデータは取得しやすく、これまで同じ学歴の夫婦が多いのか、それとも違った学歴の夫婦が多いのかという点が検証されてきました。
国立社会保障・人口問題研究所の福田節也研究員らの分析によれば、同じ学歴の夫婦の割合は1980年に約62%だったのですが、2010年には約49%にまで減少しています(*1)。
このように、学歴という指標で見た場合、日本では似た者同士のカップルが緩やかに減少しているのです。
ただし、同じ学歴の夫婦の割合は2010年時点で約49%と依然として規模は大きく、やはり似た者同士のカップルがまだ主流だといえるでしょう。
(*1)Fukuda, S., Yoda, S., & Mogi, R. (2021) Educational Assortative Mating in Japan: Evidence from the 1980–2010 Census, 人口学研究, 57, 1-20.
夫婦ともに大卒のパワーカップル予備軍は4倍に増加
ちなみに、同じ学歴の夫婦の中でも大卒同士の夫婦の増加の勢いは強く、福田節也研究員らの分析によれば、1980年に約4%だった割合が2010年に約16%にまで増えています。約4倍です。
おそらく、都市部を中心に大卒夫婦の割合が上昇しており、これが夫婦ともに高収入のパワーカップル増加の背景にあると考えられます。
なお、ニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員の分析によれば、夫婦共に年収700万円以上のパワーカップルは、2021年で31万世帯となり、総世帯の0.56%でした(*2)。また、共働き世帯の1.9%を占めていました。
これらの数値を見る限り、パワーカップルの数はまだ少ないといえるでしょう。ただし、大卒女性が今後とも持続的に増加した場合、大卒夫婦もそれに伴って増え、パワーカップルの数も上昇すると予想されます。
これは、似た者同士のカップルの姿が「高卒同士」から「大卒同士」へとシフトチェンジすることを示唆しており、消費行動や子育てにも影響すると考えられます。
(*2)久我尚子 (2022). パワーカップル世帯の動向――コロナ禍でも増加、夫の年収1500万円以上でも妻の過半数は就労, ニッセイ基礎研所報, 66, 57-62.