待てば下がるのか

そこで、「では待てば下がるのか?」という疑問が湧くかと思いますが、これもあまり期待はできません。

たとえば円安が進んでいる昨今、海外の投資家・ファンド勢から見れば日本の不動産はバーゲンセールみたいなものですから、彼らが触手を伸ばしています。

都市部のオフィスビルや商業施設に限らず、最近の有名どころではたとえば長崎のハウステンボスをHISから買収したのは香港の投資会社ですし、今年9月26日に開業した熱海パールスターホテルは中国資本によるものです。

旺盛な国内需要に加え海外勢も参戦していますから、特に都市部や首都圏では、待っていても「ただ値段が上がるのを指をくわえて見ていただけ」ということになりかねません。

さらに今後は金利が上昇する懸念がありますから、値段が高いうえに住宅ローン金利も高いというダブルパンチになる可能性があります。

不動産価値の計算
写真=iStock.com/Wasan Tita
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とはいえ地価も建築コストも上がっているため、特に都心部の新築物件は庶民には手が届かない値段になっている。物件検索サイトで探してみても、都心一等地の新築ファミリータイプマンションはほぼ億ションです。

首都圏郊外の主要路線の駅近も開発が終わったところが多く、資産価値が維持しやすい優良立地は中古物件狙いになるでしょうか。

いずれにせよマンションは立地さえ良ければ価格は下がりにくいため、中古マンションをフルリフォームするという方法もアリです。

一方、値段が手ごろだからといって、バス便など車がないと暮らせない場所では、戸建て・マンションともに資産価値が大きく下落するリスクにさらされますから、「永住」を前提にできる人はともかく、将来転居の可能性がある人にはちょっと怖い。

投資物件も下がる気配がない

都市部の投資物件(ワンルームマンション、1棟アパート・1棟マンション)も下がる気配がありません。

実需と違い、回っている物件ならいま売る必要はないですし、仮に売るとしても急いでいないので、利回りから逆算して強気の売値で出すことが多いからです。

たとえば年間の家賃収入が300万円、都市部近郊の平均利回りが6%と仮定すると、利回りで割戻して5000万円で売りますよ、というわけです。

下落の可能性としては2025年問題でしょうか。これは日本政策金融公庫のコロナ緊急融資の元本据え置き期間が5年で2025年から返済が始まるのですが、ここで返済できず自営業者や中小企業が不動産を投げ売る可能性があることです。まあ、この可能性も生産緑地の2022年問題の時と同様、空振りに終わるかもしれませんが。

この時代環境でも投資物件を買うには、丹念に業者を開拓すること、業者とのコミュニケーションを欠かさないこと、取引銀行の評価の目線に合わせた物件選びをすることが重要です。とはいえ高値掴みは避けなければなりません。入り口でコケたら身動きとれないですから。また、郊外の新築アパートも要注意で、数年で家賃が大きく下がるケースがよくあります。