「女性」というだけで継承資格が認められない日本

このたび英国で女系の国王が即位され、今後もベルギー、オランダ、スペイン、スウェーデンなど各国で女性君主の即位が相次ぐことが予想される。現代の普遍的な価値観に照らして、女性・女系君主を排除するルールは、明らかに異例となっている。

そうした中で、今の制度のままでは次世代の皇位継承資格者はわずかお1人(秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下)だけという危うさを抱えるわが国が、いつまでも問題解決に後ろ向きの姿勢を続けるわけにはいかない。

天皇・皇后両陛下のたったお一人のお子様でいらっしゃる敬宮殿下がすでに成年を迎えられたにもかかわらず、そのご将来がいつまでも宙ぶらりんなままという残酷な状態は、一刻も早く解消されねばならない。単に「女性だから」というだけの理由で、皇統の直系に当たる両陛下のお子様に継承資格が認められないことの異常さに、私たちはとっくに気づいているはずだ。

高森 明勅(たかもり・あきのり)
神道学者、皇室研究者

1957年、岡山県生まれ。国学院大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得。皇位継承儀礼の研究から出発し、日本史全体に関心を持ち現代の問題にも発言。『皇室典範に関する有識者会議』のヒアリングに応じる。拓殖大学客員教授などを歴任。現在、日本文化総合研究所代表。神道宗教学会理事。国学院大学講師。著書に『「女性天皇」の成立』『天皇「生前退位」の真実』『日本の10大天皇』『歴代天皇辞典』など。ホームページ「明快! 高森型録