リスクを理解していない人が半数を超える現実

こんなにリスクがあるのに、実際に住宅ローンを利用した人たちのリスク理解度は決して高くない。住宅金融支援機構の調査によると、変動金利型の「将来の金利上昇に伴う返済額増加への対応策」について、「理解しているか少し不安」「よく理解していない」「全く理解していない」の合計が52.6%と半数を超えている。固定金利期間選択型利用者もほぼ同様の結果だ(図表4)。

これでは、実際に返済額が増えた場合、たちどころに返済に行き詰まり、最悪の場合ローン破綻も十分にあり得る。

たしかに、変動金利型や固定金利期間選択型の固定期間の短いタイプは0%台前半から半ばの超低金利だから魅力は大きいが、その半面でのリスクを理解しておかないと、取り返しのつかない事態になる。住宅ローン利用に当たっては心しておきたい点だ。

【図表4】住宅ローンの商品性や金利リスクへの理解度
出典=住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」(住宅ローン利用者調査/2022年4月調査)
山下 和之(やました・かずゆき)
住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・単行本の取材、執筆、講演、セミナー講師など幅広く活動。著書に『2017-2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』『よくわかる不動産業界』など。