「なぜその質問をするんですか?」意図を突っ込まれて自滅

老舗の広告代理店で営業部長をしていた30代男性のCさんは、Web系のメガベンチャーへ転身するため面接に臨みました。経験も実績も申し分なく、採用されるだろうと自信を持っていました。

そんな中で迎えた最終面接の逆質問で、Cさんは何気なく「御社の男女比はどのくらいですか?」と質問。すると面接官は「どうして気になるのですか?」と聞き返してきました。

Cさんが、前の職場では女性が少なかったことを伝えたところ、面接官はけげんな顔をして「当社の男女比率は半々です。前の職場で何か問題があったのですか?」と、さらに質問の意図を追求してきました。

実はCさんは内心「女性が多い職場は苦手で面倒だ。極力マネジメントはしたくない」と思っていたのです。それを正直に伝えると心証を悪くする恐れがあると考え、何とかごまかそうとしたのですが、そうしたCさんの動揺は相手にしっかり伝わってしまったようです。面接が始まった時とはうって変わって、硬い表情でメモを取り始めた面接官の様子に、Cさんはイヤな予感を抱えながら面接会場を後にしました。

結果は不採用。「当社のカルチャーと合わないと判断しました」とのコメントが添えられていました。

実は、面接官が気にしているのは、質問の中身よりも、その質問をする意図や人間性の部分です。

直接「なぜ、その質問をするのですか?」「それを聞いてどうするのですか?」と、聞かれることがなかったとしても、面接官の頭には常にこの質問が浮かんでいると思ってよいでしょう。

Cさんの場合もそうでした。最後の逆質問で、その意図を突っ込まれ、マネジャーとしてのダイバーシティの意識に疑問符がついてしまったようです。ジェンダー平等やハラスメント対策に厳しい目が向けられる昨今では、10年前までは当たり前とされていた価値観が問題視されることもあります。Cさんの場合も、最後になって、そうした懸念を持たれてしまったのかもしれません。