「逆質問だらけ」になる可能性も
近年増加傾向にある「カジュアル面談」は、面接などの選考の前段階で行われるもので、文字通り「カジュアル」に双方のことを知るための情報交換の場です。必ずしも応募意思があるかどうかは問われないので、企業側が応募者に向けてアピールすることもありますが、一方で、人となりを判断されて、気付かないうちに相手から評価されている可能性もあります。実は、気が抜けない場でもあるのです。
カジュアル面談といえど、「企業側からの説明を受け身で聞くだけの機会」と捉えているようでは採用の土俵に上がることができないのがミドル転職。逆質問だらけの面談となる可能性もありますから、抜かりなく企業研究した上で臨むことが最低限のマナーと言えそうです。
「逆質問返し」で頭が真っ白に
40代メーカー勤務のBさんはIT業界への転職を希望し、ある企業の面接に臨むことになりました。面接で想定される質問について回答例を検索して準備し、逆質問も10個以上用意して備えました。
特に意外な質問はなく、聞かれたことにスムーズに回答していきました。そして最後に「何か質問はありますか?」と聞かれ、「現在のIT業界の課題はどのようなところにありますか?」と質問。すると、面接官から、予想外の言葉が返ってきたのです。
「Bさんはどう思いますか?」
まさかの逆質問返しに、頭が真っ白になってしまったBさん。新聞やネットニュースで見聞きした話題で何とか乗り切ろうとしましたが、思考の浅さが相手に伝わっていることが自覚できるレベル。時折面接官が投げかける質問の意味を理解するのも難しく、何とか話を合わせようとしましたが、相手の表情がみるみる曇っていくのがわかるほどでした。残念ながら、Bさんは次の段階に進むことはできませんでした。
面接は一問一答の試験ではなく、面接官との対話をする場。考えてきた質問を投げつけるだけでは不十分で、「自分の意見を持っておく」のがビジネスパーソンの基本です。Bさんは、転職対策にと新聞アプリの定期購読を申し込んではいましたが、申し込みをしただけで満足し、ほとんどビジネスの記事を読んでいなかったのです。芸能ニュースばかり読んでいたことを後悔するBさんでした。