自分が何を望んでいるのかを知る
そして、セルフマネジメントにおいて一番大切なのは「自分が何を望んでいるか」を知ることです。今の結果に満足しているのなら、今のままでいることももちろん選択肢のひとつです。
けれども、もし今とは違う結果を望んでいるのなら、行動の選択肢を増やし、望んでいる結果に到達できるまで実験を繰り返してみてはどうでしょうか。自分の人生を舞台に、どのような行動がどのような結果を生むのか、いろいろと試してみるのです。うまくいかなくても、別の機会に別の選択肢を試してみてください。数多く実験すればするほど、その中に最適解が含まれている可能性が高まります。
あなたは、苦手な同僚に対してどのような関係を望んでいるでしょうか。良好な関係を持つことを望んでいるのなら、次に電話がかかってきた時に「優先して対応する」という今までとは違う行動を取れるかもしれません。その新しい選択肢は、新しい結果を生みます。さらに、あなたの行動は相手にとっても新しい選択肢を生み出し、新しい結果を生み出すかもしれません。
原則として、「世界を変えたければ、まず自分を変えよ」。
感情的な反応はお互いに影響し合い、つながっています。あなたが苦手だった同僚に対して新しい行動を示すことで、相手の行動も変わるかもしれません。そうすれば、お互いにとってより良い結果がもたらされるはずです。
構成=山田ちとら
クレアモント大学院大学のエグゼクティブ・マインド・リーダーシップ・インスティテュートの創始者。東京を拠点とするTransform LLC.の共同創設者・パートナー。「自分をマネジメントできなければ人をマネジメントすることなどできない」というドラッカーの思想をベースに、リーダーたちが人間性を保ちながら自分自身を発展させるプログラム「エグゼクティブ・マインド」「プラクティス・オブ・セルフマネジメント」を開発し、自ら指導にあたっている。「人生が変わる授業」ともいわれるこのプログラムは、多くの日本の企業幹部も受講している。バージニア大学大学院でも講座を持つ。教育機関以外においても、政府機関、企業、NPOなどでリーダーシップ教育を行っている。シカゴ大学博士課程修了。ハーバード大学ケネディースクール修士。日本人の相撲取りの曽祖父を持つ。