科学的根拠に基づいた教育の本

最近では、科学的根拠に基づく(エビデンスベースド)教育方法について書かれた書籍がたくさんあります。これらでは、研究によってその妥当性が示された子育て方法が紹介されます。

例えば、経済学者は、学力を向上させる費用対効果の高い方法などを示しています(例:タブレット学習と紙ベースの学習で学習効果は変わらない=高価なタブレットより従来の学習で十分など)。

心理学や脳科学は、子どもの年齢に応じて必要な発達が何か、いわゆる“非認知能力”を伸ばしていくことの重要性、子どもの心身の健全な発達に必要な親の養育態度のあり方などを示唆します。

これらエビデンスベースのもので、とくにその再現性が高く見いだされているものは、多くの人の教育にさまざまな形で効果をもたらす可能性が高いです。

ゴム製のアヒルの親子のおもちゃで遊ぶ子供
写真=iStock.com/SbytovaMN
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絵本の読み聞かせより日常会話が大事

お気づきかもしれませんが、子どもを成功に導いた母親によるバイブルは、子ども成功の定義が、受験戦争に勝ち抜いた経験という大変狭義なものです。これらのバイブルが全く意味を持たないものとは思いません。ただ、例えば、東大生は子どもの頃、水泳/ピアノを習っていた、絵本を○○○○冊読み聞かせてもらっていた、というようなことが記されているものをよく目にしますが、これは、子どもの頃それらを習っていたことが、東大に入れた要因になっていると示されているわけでもなければ、絵本を多量に読み聞かせたから子どもの語彙ごいをはじめ、情緒や知識が豊富になったわけでもないでしょう。

科学的には、単純な絵本の読み聞かせではなく、乳幼児期では、親の日常的な話しかけの語彙量や情動の伝え方が、それらを向上させることが示されています。