子どもの妊娠と中絶

しかし7月12日、少女を強姦した疑いで27歳のハーション・フエンテス容疑者が逮捕・起訴され、オハイオ州コロンバスの裁判所に出廷したことで、真偽についての騒ぎは収まったようだ。警察は逮捕時に、容疑者の唾液を採取。捜査当局は、少女が中絶手術を受けたインディアナポリスの中絶クリニックで採取されたDNAと照合して鑑定する方針だという。

この10歳の少女のような事例は、特別なことではない。

ニューヨークタイムズによると、オハイオ州では2020年の1年間で、14歳以下の少女52人が中絶手術を受けたという。実に1週間に1人が中絶している計算になる。また、「性と生殖に関する健康と権利」を研究しているガットマッチャー研究所(Guttmacher Institute)の調べでは、2017年には15歳以下の子ども4460人が妊娠し、そのうち44%が中絶しているという。

インディアナ州で、この10歳の少女の中絶手術を行ったケイトリン・バーナード医師は、「性的暴行や虐待を受けたすべてのサバイバーに心が痛みます。私たちの国が、彼女たちが最も必要としている時に、彼女たちを失望させていることがとても悲しい」とツイートした。

そもそも、若者や子どもたちが中絶手術を受けるには、成人女性よりも高いハードルがある。中絶が可能な(場合によっては州外の)医療機関に行くための交通手段が必要となるし、手術費用もかかる。両親の許可を得る必要もある。

「ロー対ウェイドの判決が覆される以前から、若者の中絶には多くの壁がありました。今回の決定により、中絶が制限された州に住む若者の困難が、さらに大きく拡大することになります」とカリフォルニア大学サンフランシスコ校の疫学者、ローレン・ラフル博士はニューヨークタイムズに語っている。

手術をためらう医師たち

妊婦が子宮外妊娠や流産をして危険な状態であったとしても、中絶を禁じる州法に抵触することを恐れ、手術をためらう医者も出てきているようだ。

ワシントンポストでは、胎児の心音が確認されたために、子宮外妊娠の患者が胎児を取り除く手術を地元の医者にしてもらえなかった例を紹介していた。その患者は結局、緊急手術のために、中絶が合法なミシガン州にあるミシガン大学病院に搬送された。