NGワード③「休むのはいいけど、引き継ぎはしっかりやってね」

こう言う上司は本当に多く、当たり前のことを言っているつもりだと思います。言いたくなる気持ちもわかりますが、口にするまえに少し立ち止まって考えてみてほしいと思います。

メンタル不調だと、思考力や集中力が落ちます。元気な時ならすぐに終わる仕事でも、時間がかかってしまいますし、疲労感も大きくなります。上司が求める「しっかりした引き継ぎ」は、かなりの負担になり、症状を悪化させてしまうことになります。そのうえ、引き継ぎが終わるまで休めないプレッシャーも大きい。

精神科医が出す「休息が必要」という診断書は、「今日から休んでね」「明日から会社に行っちゃダメだよ」という気持ちで書いています。とはいえ立場上、すぐには休むことができなかったりするのは理解できます。でも、長くても2日が限度です。明日、明後日まではギリギリで許容できますが、その次の日からはしっかり休んでほしいのです。

それがあまり理解されていないことが多く、診断書が出てからも、引き継ぎが終わるまで2~3週間仕事に行き続ける人もたくさんいます。上司は、引き継ぎのことは心配しないで本人が休めるよう、できるだけ配慮して、速やかに休ませてあげられるようにしてください。

夜のオフィスでストレスを感じている若い社員
写真=iStock.com/Jay Yuno
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話を聞くための時間と場所を確保する

上司は、部下からメンタル不調の相談を受けたとき、どのように対応したらよいのでしょうか。重要なポイントは2つあります。

1つ目は、じっくりと話を聞くための時間と場所を確保すること。そうすることで、「あなたの話をちゃんと聞きますよ」という姿勢を見せます。

ここをないがしろにしている人はとても多いです。つい、周りに人がいる自席で「詳しく聞かせて」と話を聞こうとしたり、「忙しいから今話して」と急かすようなそぶりを見せたりしてしまう。すると部下の方は、片手間に話を聞かれているように感じてしまい、「この人に相談しても意味がない」「期待できないな」と思ってしまいます。

こういった場合にはすぐ「今、会議室をとったから、そこで話そう」と伝え、場所と時間を確保して、受け入れる姿勢を目に見えるように示すことが大切です。