幸福度の男女差が拡大したグループ

2003年から2018年までの間で、幸福度の男女差は拡大傾向にあるわけですが、すべての男女間で等しくその影響を受けているのかというと、そうではありません。

細かくグルーピングしていけば、男女差が大きく拡大したグループとあまり拡大しなかったグループに分けることができます。

実際に年齢、学歴、配偶状態、子どもの有無でグループ分けすると、特に男女差が拡大したのは「35~49歳、大卒、未婚、子どもありの場合」でした(*3)

その主な原因はいずれも「男性の幸福度の低下」でした。

高齢未婚男性と子育て期の男性の幸福度が顕著に低下

「未婚者」と「子どもあり」の男性について、さらに詳しく見ていきましょう。なぜならば、年齢によって直面する状況が異なってくるためです。

例えば、比較的若い未婚者であれば、お金や時間を自分の裁量で使うことができ、必ずしも幸福度が低下する状況にはない可能性があります。これに対して、高齢の未婚者の場合、特に男性において社会的に孤立するケースがあるため、幸福度の低下が大きい恐れがあります。

また、子どもがいる場合、子育て期では金銭的・肉体的負担が大きいですが、子どもが巣立った後は逆に子どもからの支援が得られるケースもあるため、プラスの側面が大きくなる可能性があります。

このように、年齢層によって未婚者と子持ちの人々の直面する状況は違ってきます。この点を確認するために、未婚者と子持ちの人々を50歳未満と50歳以上の2つのグループに分け、幸福度の推移を分析しました。

その結果、幸福度の低下が特に顕著だったのは、「50歳以上の高齢未婚男性」と「49歳以下の子持ち男性」だとわかりました(*3)

高齢未婚男性と子育て期の男性の幸福度が特に低下し、その結果、男女間の幸福度の差が拡大したのです。