私服だと3割ジャージも
ちなみに、じゃあ私服だとどんな感じになるかというと、部活とか学校のジャージを着ている子が3割くらいいます。ほか7割は私服もしくは「なんちゃって制服」です。特定の部活動が、例えば野球部が学ランで合わせているような例もあります。ほかには、きれいな私服を着ている女の子の集団もあります。派手な男子も、地面につくような丈の服をオリジナリティあふれる形で着こなしている例もたまにあります。
服は価格だけでなく、こだわりがでるので、オシャレじゃないから貧しい、というようなことではないと感じます。むしろ、先ほど少し挙がった「スクールカースト」という観点からは、確かに、華やかなきれいな服を着ているグループと、服装が地味な生徒の集まりなどは分かれると思います。
ファストファッションの方が清潔に通えるかも
【TNT】貧富の差は分かります。制服の学校にいますが、お古の制服も可ですので、それはもう端から色が違いますよね。加えて例えば制服に痛みがでたときに、貧困家庭だと、お家の方がミシンで縫うなどもままならない場合もあり、本人が下手な裁縫で取り繕ってほつれが目立っているなどの状況もあります。気の毒なのだけど、買い替えるのは高いので、私服でもよいということで、ファストファッションだったらこの子でも買えて清潔に通えるのにな、と思います。
【SKR】分かります。でも逆に、おさがりは貧富に限らず一定数いるので、そこまで可視化されないという意見もあります。ただ、服をメンテナンスできる環境であるか否かというのは、1~2年経つことによって見えてくるものということもあります。制服の方が見えづらいとは思いますが、見えるのは見えます。
【長野】余談ですが、教員の身だしなみについて、長野県の公立高校には、そもそも教員の服飾規定がないので、先生方はわりと自由な恰好をしている印象があります。私も最初、教員になりたての時はスーツで行ってましたが、そのうちジャージになりました。そのことで何かとがめられることもないので、そうした「服装の自由」という意味では、私服校に通う生徒とあまり変わりません。
【内田】制服についての意見、ありがとうございました。
令和2年度より生徒指導部長として勤務校の校則改革を行い、各種メディアに取り上げられた。
2016年8月より教育現場の情報発信を続け、国会や文部科学省への署名提出、国会への参考人陳述等を行う。共著に『迷走する教員の働き方改革』(岩波書店)、『教師のブラック残業』(学陽書房)がある。
1976年生まれ。専門は教育社会学。ウェブサイト「学校リスク研究所」を主宰し、また最新記事をYahoo!ニュース「リスク・リポート」にて発信している。著書に『学校ハラスメント』(朝日新書、近刊)、『ブラック部活動』(東洋館出版社)、『教師のブラック残業』(学陽書房、共著)、『教育という病』(光文社新書)などがある。ヤフーオーサーアワード2015受賞。Twitterアカウントは、@RyoUchida_RIRIS