無価値な自分が、IBMに奇跡の入社を果たす
「You are nothing!」(君らは無価値だ!)
これは、堀江愛利さんが、カリフォルニア州立大学国際経済学部4年生の時に無情にも講演会の登壇者から言われた言葉だ。
「大学を卒業したら、世の中にはハーバード、スタンフォード、マサチューセッツ工科大学といった名だたる大学の秀才たちがひしめいている。彼らと比べれば君たちの存在は無いも等しいのだ」と。大学でバレーボール三昧の日々を送っていた堀江さんは、そのひと言で奮い立つ。
「卒業後、ちゃんと労働ビザをくれる会社に入らないとアメリカで生き残れない」と危機感を抱いた堀江さん。
優秀な成績を収めたうえ、大学内の数々の賞を受賞したのを武器に、就職活動を始めた。チャンスは巡ってきた。ジョブフェアでIBMのマイノリティーの学生採用枠に申し込める機会に、偶然にも出くわしたのだ。通常は特別な技術がないと労働ビザが与えられないし、堀江さんにずば抜けた英語力があったわけでもない。しかし彼女のコミュニケーション能力や前向きなキャラクターが功を奏した。ジョブフェアで出会ったIBMの副社長の目に留まり、面接を受けられるように差配してくれたという。
「ここまで僕が環境を整えたのだから、あとは『It’s your game』だと彼に言われました。スポーツでいうと、ゲームの流れを自分に引き寄せれば試合に勝てる。そういうニュアンスですね」
その言葉どおり面接のイニシアチブを握った堀江さんはIBMに“奇跡的に”入社。「その副社長に出会っていなければ、今の私はないのです」。
以来、堀江さんは与えられたチャンスを常に生かし、どんな困難があっても決して諦めない精神と行動力を発揮していく。