確定申告だといくら損してしまうのか

住宅ローン減税とふるさと納税を併用し、確定申告した場合、いくら損してしまうのでしょうか。

たとえば、2020年に住宅ローンを借り入れた、年収600万円・独身の場合(※他の所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみ)の場合、ふるさと納税の寄附上限額は7万7000円です。2020年に借り入れているので、住宅ローン減税の計算は、住宅ローンの年末残高の1%(40万円上限)となります。

仮に、この人の住宅ローンの年末残高の1%が「40万円」の場合

・ふるさと納税前の住宅ローン控除額:33万5900円
・ふるさと納税後の住宅ローン控除額:32万8200円

となります。差額は7700円です。

ふるさと納税を行い、確定申告をすることで、ふるさと納税の寄附金控除の分だけ、所得税から住宅ローン控除が差し引けないこととなり、損してしまうのです。

確定申告の場合でもふるさと納税を併用するメリット大

年収600万円の人の場合、所得税率は10%なので、ふるさと納税の寄附上限額7万7000円×10%分が住宅ローン減税で節税できず、損になってしまうというわけです。

住宅ローン減税とふるさと納税を併用するメリットのほうが大きいので、多少損したとしてもふるさと納税を併用したほうがいいでしょう。確定申告をすると、数千円は損する可能性がありますので、確定申告が不要なら、ワンストップ特例制度を利用するようにしましょう。

また、毎年、確定申告する場合でも、住宅ローン減税とふるさと納税を併用するメリットのほうが大きいので、ぜひ併用していきましょう。

頼藤 太希(よりふじ・たいき)
マネーコンサルタント

株式会社Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年にMoney&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『Mocha(モカ)』、YouTubeチャンネル『Money&YouTV』、Podcast『マネラジ。』、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)など書籍90冊、著書累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。