退職願いは2~3回書いた

退職願いは、もう2〜3回書きました。そのたびに、社長さんや橋口さん(同じ職場でともに働く80代の看護師)には、「また池田さんが書いてきた」と笑われますが、私は、いつでもその覚悟はできています。

池田きぬ『死ぬまで、働く。』(すばる舎)
池田きぬ『死ぬまで、働く。』(すばる舎)

でも、管理者の岡野さんから、「人が足りないので入ってほしい」と言われると、「家にいるのもな」と思って職場に出ていくんです。

私も管理者をしていたから、シフト作りの大変さがわかります。人が足りないと、働いている人が忙しくなってイライラします。それは、働いている人にも入居者さんにもよくないから、人に余裕があるのは大事なことなのです。

来月はそろそろ辞めようかと思っても、「来月は人が足りない」と言われてシフトに入り、その翌月も同じようなことになって、またシフトに入り……を繰り返していたら、9年経っていました。

でも、「今月もまた勤務せなあかんのかな」とぶつぶつ言いながら、喜んで職場に出かけている自分もいます。

やっぱり、仕事が生きがいなんでしょうね。

昼間は仕事、夜は義母の介護…それでも続けてよかった

ありがたいことに2018年、75歳以上の医療関係者(当時)に贈られる「山上の光賞」をいただきました。

この賞は、過去の業績も考慮しますが、現役で活動を継続している人に贈られるそうです。看護師が長く働ける職業であることを示せたのは、うれしいことですね。

50代の頃、同居していた義母が脳梗塞で倒れました。仕事と介護との両立が難しいかなと考えて、仕事は辞めようと思いました。でも、主人が会社を定年退職したときだったので、昼間は主人、夜は私と手分けをし、仕事は辞めずに2年間介護を続けました。

昼間は仕事、夜は介護と忙しかったので、「この生活が何年続くんだろう?」と思うときもありました。でも、仕事は辞めずに続けてよかったですね。