20%近くまで上昇した金利を見て投資熱が再燃

そんな教訓を身につけたわけですが、やはり100万円以上の損失のダメージは大きく、しばらくはリラからは離れていました。そしてトルコショックから3年が経過しました。

ふとリラ相場を確認すると、1リラ=20円はおろか15円をも大きく割り込む水準になっており、政策金利はなんと20%近くにまで上がっていたのでした。これには投資熱が再燃し、昨年、私は1リラ=12~13円のタイミングで、再びFXで5万リラを購入しました。

かつて1リラ=20円の頃にロスカットを喰らっていた私は、1リラ=12~13円には「安い!」と喜び、また圧倒的な高金利に目を奪われたのでした。前述の教訓①②は何だったのでしょうか。恥ずかしい限りです。

そして参戦直後に教訓③の洗礼を再び受けることとなります。それは、猛烈なインフレが進む中で利下げをするという、経済セオリー無視、通常は考えられない、独裁大統領のまさかの経済政策です。

これにはマーケットも大ブーイング、リラは急落、冒頭のように史上最安値を更新し、またもや買値の半額程度までとなり、大きな含み損を抱えてしまったのでした。

どんなに下がっても絶対に退場しない「FXレバレッジ1倍法」

教訓をまったく活かせていないガッカリな行為ではありましたが、頭では分かっていても、実際にはなかなか実践できないという、投資のリアルさを感じていただければ幸いです。

ただ、1つ成長があったとすれば、それは2回目のリラ投資では、「リラは絶対に手放さない(何が何でもロスカットは喰わない)」と、完全に腹を括ることができたことです。

はじめてのリラ投資では、証拠金を多めに入れてはいたものの、想定外のリラ暴落でロスカットになりました。それを受けて今回は、実際の取引額(12~13円×5万リラ=60万円強)と同額の証拠金を入れることで、リラがどれだけ下がっても、絶対にロスカットを喰わないようにしたのです。

ちなみにこれは「FXレバレッジ1倍法」と言われるもので、FXの資金効率の良さはなくなってしまいますが、FXの安い為替手数料や高い金利水準を享受することができる効果的な手法です。

今後、ウクライナ情勢に絡み、リラ相場は大きく変動するかもしれません。NATOに加入しながらも、ロシアと独自の外交を展開するトルコにも、何が起こるか分からない怖さもあります。ルーブルのように大暴落、取引停止も決してあり得ない話ではないでしょう。

しかし腹を括った以上、そんな情勢も含め、目を背けずに、今後のリラ相場をしっかり見守っていきたいと思っています。

[脚注]
※必要証拠金額やスワップ金利は業者により異なる。

藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー

1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。