子どもの自己肯定感が上がる教え方

プライベートゾーンについて話すことは、子どもの中に2つの要素を育むうえでとても役立ちます。ひとつは自分を大事に思える心、すなわち自己肯定感です。そしてもうひとつは、他人を無意識に傷つけない心です。

自己肯定感は人が自分に自信を持つための基礎となるもので、これが低い人は人生においてさまざまなつらさを抱えてしまう傾向があります。自分で自分を肯定できないと、肩書や名誉といった周囲の評価を求めがちになりますが、人生にはそれがかなえられない場面も多々あります。そんなとき、本人が非常につらい思いをするだろうことは想像に難くありません。

自分の体を大事に思えるようになることは、自己肯定感を高めることにもつながります。ですから、子どもにはぜひ「あなたの体やあなたの存在はとても大事なものなんだよ」と伝えてあげてください。特に体は、抽象概念ではなく実体があって触れるものなので、子どもにも理解しやすいと思います。

手をつないで歩く親子
写真=iStock.com/Vagengeym_Elena
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性に関しては、子どもに突然聞かれてドギマギすることもあるでしょう。親自身も答えがわからない、という場合もあるかもしれません。そんなときも、あやふやなまま終わらせるのではなく、「パパもママもわからないから一緒に調べてみようか」と、子どもの興味に寄り添ってあげたいものです。今は、人体に関する図鑑でも子ども向けのものがたくさんありますから、そうした教材を使って一緒に調べてみてはどうでしょうか。

算数や国語を教えるのと同じ感覚で

日本では性教育だけが特別視されがちですが、本来なら国語や算数を教えるのと何ら変わりはありません。国語や算数の問題で子どもに「教えて」と言われたら、多くの親は自分の知識でわかる範囲なら答え、わからなければ一緒に考えたり調べたりするはずです。答えをごまかしたり、わざと事実と違うことを教えたりする親はいないでしょう。

性についての質問も、ほかの教科の質問に答えるのと同じ感覚で、事実を教えるか、わからなければ調べて答えればいいだけなのです。決して「赤ちゃんはコウノトリが運んでくるんだよ」などと言ってごまかしてはいけません。

性教育は特別視しないことが大事です。親が構えすぎると、子どもは「聞いちゃいけないのかな」と思ってしまい、その後は疑問を持っても聞いてこなくなる可能性があります。