SNSの利用は人々を幸せにしてきたのか。拓殖大学准教授の佐藤一磨さんは「心理学を中心に研究が進み、SNSの利用が幸福度に及ぼす影響について明らかになってきています。幸福度が高まる使い方と低下する使い方があることもわかりました」という――。
SNSのアプリケーション
写真=iStock.com/alexsl
※写真はイメージです

SNSは、われわれを幸せにしたのか

今では、多くの人がSNSを利用しています。

代表的なSNSとしてFacebook、Twitter、Instagramがあげられます。これらのSNSは世界中で利用されており、社会に大きな影響力を持っています。

では、SNSを利用することでわれわれは幸せになったのでしょうか。

近年、心理学を中心に研究が進み、SNSの利用が幸福度に及ぼす影響が明らかにされてきています。本稿では、その研究成果を紹介していきたいと思います(*1)

(*1)今回紹介する研究では幸福度の指標としてaffective well-being、life satisfaction、loneliness等があり、さまざまな指標が存在しています。今回の記事では煩雑さをさけるためにも、やや正確性には欠けますが、これらを総称して幸福度と呼んでいきます。

孤独感や疎外感を緩和できる

Facebookに代表されるSNSの利用には、さまざまなメリットがあります。

この中でも特に大きなメリットは、時間や場所に制限されずに友人や家族との交流ができる点です。

SNSの利用によって自分の都合の良い時間に友人の状況や自分の仕事・生活上の変化をシェアすることが可能となります。これが交友関係の維持・拡大につながり、人々の孤独感や疎外感を緩和することになるわけです(*2)

孤独感や疎外感の緩和は、幸福度の向上につながることがわかっているため、SNSの利用が幸福度を改善させる可能性があると言えるでしょう。

これ以外にも、SNSによって自分の好きな有名人の動向を身近に知ることができるというメリットもあります。

(*2)Wirtz, D., Tucker, A., Briggs, C. et al.(2021) How and Why Social Media Affect Subjective Well-Being: Multi-Site Use and Social Comparison as Predictors of Change Across Time. J Happiness Stud 22, 1673–1691 .