「健気に頑張る年下妻」佐々木希
アンジャ渡部の自主謹慎と復帰の傍らで、妻の佐々木希は幼い子を育てながら仕事を続けていた。だが、この件に関する佐々木希の一連の対応は、一般の感覚では少々違和感の残るものでもある。芸能生命を長らえる演出でもあるのだろうが、「健気に頑張る年下妻」が過剰なのだ。
文春砲炸裂直後、佐々木希への支持は当の文春関係者が予想外だったと語るほどに爆上がりしていた。幼い子を育てていることもあってか、報道直後からまず離婚はしないと明言し、憔悴した15歳年上の夫をつきっきりで支え、インスタグラムで「この度は、主人の無自覚な行動により多くの方々を不快な気持ちにさせてしまい、大変申し訳ございません」と(なぜか妻が)謝罪。
夫のスキャンダル発覚後に表紙を飾ったファッション誌のインタビューでは「私の愛は、結構深いし、そう簡単にはなくならないと思う」と、夫への変わらぬ愛を宣言。その「私の愛で立ち直らせてみせる」と言わんばかりの姿勢一点張りに、世間では「へー、そんなにその夫が好きなの?(なんで?)」という、呆れにも近い思いが広がっていた。
夫のエグい不貞が明らかになり、自分がかなり強烈な形で裏切られていたにもかかわらず一般の感覚では理解しがたいほど寛容に水に流し、夫の代わりに気丈に世間に謝って、キャリアの危機にさらされるアラフィフの夫を献身的に支える、15歳年下の美人妻。そんなキャラクター演出、タレントとしての戦略でもあったのだろう。30代半ばという彼女の年代を考えればひどく自己犠牲的で、根本にどうも男尊女卑のにおいがプンプンして違和感しかない。
でも、本人がそう言うならそれでいいんじゃない、まずは子どもも小さいし、彼女もキャリア継続しなきゃならないんだしと、ある意味「過剰に古風な佐々木希問題」は宙ぶらりんで放置された。
自分の配偶者を何と呼ぶか
その後の活動も、どこかに腫れ物扱いを感じさせながらもバラエティに出演したり、夫の不倫の件を彷彿とさせるセックス依存症の女性役に挑むなど、キャリアとしては順調だ。
しかしここにきて、渡部の復帰報道に対して彼女が寄せたコメントに、「その過剰に夫を立てる姿勢、もういい加減にしたら?」と苛立ちを隠せない人々、中でも働く大人の女性は少なくない。
「本日より主人が仕事復帰することとなりました。これからはゼロから頑張る主人の姿を見守ることに決め、今まで以上に感謝の気持ちを持ち、家族と共に前に進んでいこうと思っています。」(佐々木希インスタグラムより)
日本でも共働き夫婦の世帯数が専業主婦世帯数を越える現代、女は当たり前のように仕事をし、働き続ける。職業人として活動する現場で、自分の配偶者を何と呼ぶか。女たちは先輩から学習したり周囲を見たり、プロフェッショナルとしての意識があるほど、公式の場では「夫」とニュートラルに呼ぶのが暗黙の了解だ。