公表即炎上、教育データ利活用ロードマップとは、そもそもなにか

そもそも教育データ利活用ロードマップの理解自体が難しいものである。

官僚ですら「読んだが、よくわからない」という感想を持つ者も少なくない。

本稿のメインテーマは教育データ利活用ロードマップの炎上の要因を検証していくことにあるが、最初にこのロードマップ自体が3つの意味で「難しい」文書だということを説明しておく必要がある。

(1)教育データ利活用ロードマップ自体の内容が、難しい
(2)教育データ利活用ロードマップの目的、誰に何のために書かれたものかも、難しい
(3)教育データ利活用ロードマップが発表されるまでの経緯=ここまでのあらすじ、をわかってないと理解が難しい(わかっていても難しい)

(1)教育データ利活用ロードマップ自体の内容が難しい

教育データ利活用ロードマップのp.1に最初に示されるのが、図表1である。

これを見て「わかる」と思う読者より「難しそう」と思う読者の方が多いのではないだろうか。

官僚アート(ポンチ絵)の極北ともいえる精緻な図に、PDS(Personal Data Store)、アーキテクチャ、EdTech、公教育データプラットフォームなど、日本の大人の多くが見慣れない用語(私もPDSは初めて見た)がちりばめられている53ページにもわたるスライドのすべてを理解できる大人は、ICT業界はともかくそれ以外の業界には多くはないと思われる。

これを「読んで、わかる」と言えるためには、デジタル政策、個人情報保護政策と教育政策にわたる知識と最先端の動向理解が必要な“ハイコンテクスト”な文書なのである。

動き出す前の基本設計にすぎない

解説編は、体力があれば第2弾記事として発信するかもしれないが、私は一介の教育政策・こども政策の研究者にすぎないので、デジタル庁やICT界隈からわかりやすい解説資料・解説動画などが、“ガチ勢”以外の人々に向けて発信されることを願っている。

詳細は後述するが、教育データ利活用ロードマップ自体は、まだ具体的な施策として動き出しているものではなく、動き出す前に、教育データの全体像をマッピングし、雑多な教育データにルールを作っていく基本設計を示すことにその意義が見いだせる。