共通する考え方と行動

私が書きたかったのは「どうすれば億り人になれるか?」というノウハウではありません。やり方は人それぞれで、本書の中でインタビューした人たちもそれぞれ全く違ったやり方で億り人になっています。実はノウハウよりも大事なことは億り人になった人の思考方法や行動です。私は彼らに共通する考え方とやっていることがどのようなものかを明らかにしたかったのです。

実際に自分が相談を受けてきた人たちの話や自分が取材した億り人の人たちに共通することを書いています。それらの共通点の中で最も大事なことは「自分なりの価値基準を持ってお金を使っている」ということです。

ここに多くの人があまり認識していない事実があります。それは「収入のコントロールは難しいが支出のコントロールは可能だ」ということです。会社員であれば収入は安定しているものの、それを増やすことは容易ではありません。自営業では収入は極めて不安定です。ところが支出は自分でルールを決めることである程度抑制することは可能です。ただし、これは節約をしなさいということを言っているわけではありません。自分にとって価値のある支出かどうかを見極めなさいということを言っているのです。

黒板に書かれた上向きのグラフ
写真=iStock.com/takasuu
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億り人がしないこと3つ

面白いことに私がインタビューした億り人の人たちには明らかな共通点がいくつかあります。それは、

1.誰もあまり保険に入っていない
2.誰も節約をしていない
3.誰も“何となく消費”はしていない

ということです。

保険はとても大事なものなので、慎重に考えるべきです。保険の目的は貯蓄ではなくて保障ですから、できるだけ少ないコストで多くの保障が得られるコストパフォーマンスの高い保険を選ぶべきだし、そもそも社会保険でカバーされる金額をまず知り、その後に足りない分を民間の保険で補うという考え方が徹底されています。したがって自動車保険や火災保険にはみんな加入していますが、生命保険や医療保険は世間一般の平均よりもはるかに少ない金額になっています。