ことごとく“順序が逆”内閣

発足間もない岸田内閣ではあるが、これまでのお手並みを拝見しての感想を述べさせてもらうと、打ち出す政策は、ことごとく順序が逆だ。

「成長なくして分配なし」と今すぐ分配が必要な人を放置したまま、成長による果実をすぐ手にすることができる人たちをまず優遇。PCR検査を誰もが無料で受けられる体制を整備しないままに、陰性証明持参者を優遇。そして今度は、平日休みを誰もが普通に取れない現状のままに、平日優遇。これらすべて、順序が逆だ。

冬目前、これからが本番だ。岸田首相は「第5波のピーク時に比べ2倍の感染力になっても対応できるよう、医療体制を強化する」と言ってはいるようだが、いまだに具体策が見えてこない。GoTo再開よりもまず医療体制が先ではないのか。まさに、これこそ順序が逆だ。

そもそも「GoToトラベル」に前のめりになる前に、菅政権下でのコロナ対応の総括はしたのか。そしてその反省を踏まえて、来たる第6波をにらんだ万全の対策を講じているのか。まさか、多くの感染者が自宅に放置され亡くなったというあるまじき第5波の失敗を、もう忘れたか。総括も反省もせず「感染者が減った減った! ワァーッ!」とばかりにGoTo再開か。違和感、いや憤りすら覚える。

持てる者、余裕のある者、力のある者、強い者という一部だけがまず優遇されて、それ以外の者は排除されるか取り残される。そんな政治を執り行う集団がこの数年、とくに幅を利かしてきている。ごく一部の者たちの利権が人権に優越してしまう腐敗した政治。もうたくさんだ。いいかげんにしてほしい。

唯一GoToしてもいい場所

だがそんな政治にウンザリしている人に朗報がある。時間的余裕がなくとも金銭的余裕がなくとも、差別や排除されることなく使える「GoTo」がある。しかもそれは腐った政治、一部の人だけが優遇される政治、さらに社会さえも生きやすく変えることができる「GoTo」だ。

そう、私たちには「GoTo選挙」がある。今すぐ行こう。必ず行こう。

木村 知(きむら・とも)
医師

1968年生まれ。医師。東京科学大学医学部臨床教授。在宅医療を中心に、多くの患者の診療、看取りをおこないつつ、医学部生・研修医の臨床教育指導にも従事、後進の育成も手掛けている。医療者ならではの視点で、時事問題、政治問題についても積極的に発信。新聞・週刊誌にも多数のコメントを提供している。著書に『大往生の作法 在宅医だからわかった人生最終コーナーの歩き方』『病気は社会が引き起こす インフルエンザ大流行のワケ』(いずれも角川新書)など。
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