1日数分、手当ての時間をもつ

毎日の忙しさの中で、ほんの数分でもいいと思います。いつも働いてくれている自分の体を感じとる時間を持ちましょう。そしてリチュアル(お作法)を行います。リチュアルとは、これをすれば自分の考えが切りかえられる行動様式です。

お花
撮影=Hiroshi Homma

最もおすすめなのが、自分の体に手をあてる「手当て」という方法です。体に手を当てると、手のぬくもりが体に伝わり、体は自分の体だけど、自分だけがつくっているわけではなく、空気を吸ったり、水を飲んだりして、自然とつながってできていることを実感できます。それだけでなく、今の時代という横の脈ともつながっているし、先祖からつづく縦の脈ともつながっていることがわかる。そして、そんな体が元気であることに感謝し、自分という存在が、自分が思うよりももっと大きな存在であることに気づきます。これは立派な瞑想です。

手当てのやり方としては、まず手が冷たければ、両手をすり合わせて手をあたためてから、体にさわっていきます。手はセンサーであり、思いを伝える媒介ですから、そこにスイッチを入れるというイメージです。胸に手を当てて呼吸を感じたり、首をさわって血液の流れを感じたりします。それぞれ好きなやり方でOKですが、私の場合、首、胸、おなか、背中と体の上から順に手を当てていきます。

他者への共感が深まる

これは自分にとって気持ちのいい時間帯にやってほしいので、朝気持ちよく起きられる人は朝、おふろ上がりが気持ちいい人はおふろ上がりと、あまりストイックになりすぎず、リラックスしているときに試してみてほしいと思います。リラックスしているときは、愛がいちばん発動しやすいので、そういう時間こそ、自分に愛を向けるときです。私は坐禅の前に行うのが習慣になっています。

お花
撮影=Hiroshi Homma

日々、自愛していくと、自分にも他人にもいいことが起こります。自分に対しては、自分がいかに狭い世界の中での評価にとらわれていたかということが見えてきます。そうすると自分の解像度が上がって、考え方の癖に気づけるでしょう。

一方、他人に対しては、共感力が上がります。長らく日本の社会では自分に愛を向けると、自己中心的と思われるようなところがありましたが、まずは自分を労わることで、他者への共感度も上がるのです。