記憶の出力も大事
滅多に会わない人の名前をなかなか思い出せないのは、日常的に口にする機会がないからだと前述しましたが、私たちが英語を習得しにくいのもまったく同じ理由で、日常会話が英語でないからです。記憶を定着させるには、収集して保持したものを出力することもとても重要です。
英語に限らず、頑張って勉強したことや本で読んで感銘を受けたこと、すごいと思ったお役立ち情報などを入手したら、それらに費やした時間と同じかそれ以上の時間を使って、口に出したり書いたりして、記録するようにしてください。私は、SNSを記憶の出力場所の一つにしていて、気づいたことがあればスマホからなんでも書き込んでいます。そこで目に留めてくれた人とやり取りすると、さらに記憶の定着を促せるわけです。
記憶の情報ネットワーク化によって直感を磨く
スマホを使うのは、スマホに記憶を代用させていることにならないか、と問題視する人がいます。確かに、同じ記録でもノートや手帳に手書きしたほうが、紙を触る、ペンを取る、書く、といった工程を経ることで五感が刺激されて、記憶を保持しやすくなるでしょう。
だからと言って、今さら紙のメモや手帳に戻るか否かは、一人ひとりの判断に任せます。いずれにしても、私たちが自分の記憶を上手に情報ネットワーク化して、それをうまく引き出せるようになるには、日々の生活の中で、記憶の収集→保持→出力を繰り返すことが必要です。
そうすると、いわゆる直感が働きやすくなることを実感できます。直感というものはどこからくるのかというと、私はこれまで蓄積された記憶以外にないと考えています。
1968年東京生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガンを経て独立。少子化問題、若者の雇用問題、ワーク・ライフ・バランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言を行う。著書に『勝間式食事ハック』(宝島社)、『勝間式超ロジカル家事』、『勝間式超コントロール思考』『ラクして おいしく、太らない! 勝間式超ロジカル料理』(以上、アチーブメント出版)などがある。