河村市長を反面教師にできるおじさんはわずか

残念ながら、大半の人は気づきもしなければ変わろうともしません。他のおじさんが世間から非難を浴びていても、それは対岸の火事に過ぎないからです。実際にハラスメントをしている人でさえ、そのほとんどが「あいつはバカだな、俺は違うから大丈夫」と思い込んでいると言われています。

ですから、もし職場でハラスメントを受けたら、社内の担当窓口と連携するなどして、本人に「あなたは加害者ですよ」とはっきり伝えるべきだと思います。告発は自分は被害者だと宣言することになるので勇気が必要ですが、無自覚を自覚に変えるには、本人を対岸の火事ではない状態に置くことが重要なのです。

まずは、自分の言動には河村市長や張本さんと同じように問題があるのだと自覚してもらわなくてはなりません。自分も同じ穴のムジナだと自覚できて初めて、反省することも変わっていくことも可能になるからです。

悪気の無いハラスメントを見かけたら

もし上司ではなく、腹を割って話せるような同僚や友人が悪気のないままハラスメントをしていると感じたら、きちんと指摘してあげてください。特に男性は損得勘定にとらわれやすい生き物ですから、そこを利用して「そんなハラスメントを続けていたら奥さんに逃げられるよ」「老後に人から疎まれて大変だよ」などと注意してみてはどうでしょうか。

社会は、ハラスメントが放置されていた時代に比べればだいぶ進化し、そうした言動に対してはしっかり非難の声が上がるようになりました。この声を受け止めて、自分の何がいけなかったのかを理解し反省する人が、少しでも増えていくことを願っています。

構成=辻村洋子

田中 俊之(たなか・としゆき)
大正大学心理社会学部准教授

1975年、東京都生まれ。博士(社会学)。2017年より現職。男性だからこそ抱える問題に着目した「男性学」研究の第一人者として各メディアで活躍するほか、行政機関などにおいて男女共同参画社会の推進に取り組む。近著に、『男子が10代のうちに考えておきたいこと』(岩波書店)など。