AIやロボットが上手に運用してくれるわけではない
たしかにこの10年ほどの間、市場は非常に好調でした。でもいずれどこかで必ず暴落したり下落が続いたりする事態は起こってきます。そんな時、AIやロボットだから上手に運用してくれるわけでも何でもありません。相場が下がればいくらAIが運用していようが、下がります。そんな暴落の時、自分がよく理解していないままに買ったものの価格がどんどん下落していくという状況に果たして耐えられるでしょうか?
もちろんそういうサービスを提供しているところは一様に「価格の上下は投資している限り起きることですから、短期的な値動きを気にせず長期的な構えで考えるべきです」と言いますし、それ自体は正しい考え方です。でも問題は人間というのはそう簡単に割り切ることができないということです。上がればうれしくなって買い増しをし、下がれば見るのも嫌になって売ってしまう。私は証券市場で40年以上仕事をし、多くの投資家を見てきましたが、暴落に遭って市場から去って行った人は数限りなく見てきました。過去にもマーケットが良かった時代には、1人でも多くの人を投資に呼び込もうとして似たようなサービスを提供するところはたくさんありましたので、昨今の状況を見るにつけ、強い既視感を覚えるのです。これはまさにいつか来た道であると。
投資は自己責任だと言いますが、自分で責任を取れるのは自分で考えて考え抜いた揚げ句に投資をするからです。業者に任せてうまくいかなくて、そこに文句を言っても仕方ありません。おそらく「投資は自己責任ですから」と言われておしまいです。でもそれではなかなか納得できないでしょう。それは自分で考えずに任せてしまったからです。投資で一番大事なことは「自分の頭で考える」ことだということを忘れてはいけません。
1952年大阪府生まれ。オフィス・リベルタス創業者。大手証券会社で個人資産運用業務や企業年金制度のコンサルティングなどに従事。定年まで勤務し、2012年に独立後は、「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるように支援する」という理念のもと、資産運用やライフプランニング、行動経済学に関する講演・研修・執筆活動を行った。日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。著書に『投資賢者の心理学』(日経ビジネス人文庫)、『定年男子 定年女子』(共著・日経BP)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)、『お金の賢い減らし方』(光文社新書)など多数。2024年1月没。