ポイントを活用して気軽に投資が始められるようになりました。中には、投資の勉強を目的に始める人もいるかもしれません。ところが経済コラムニストの大江英樹さんは「ポイント投資はいくらやっても投資の勉強にはなりません」といいます――。
ポイントのブロックを積み上げる手元
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投資のハードルが下がってきている

最近は投資することに対するハードルがどんどん下がってきているようです。金融庁も「貯蓄から資産形成へ」というかけ声の下、「つみたてNISA」を中心に投資を勧めていますし、金融機関は言うまでもなく、積極的に勧誘しています。金額も定額でできるようになり、投資信託の積み立てなどでは毎月最低金額が100円からできるようになっています。さらに最近では現金だけではなく、ポイント投資などのように買い物で貯まったポイントでも投資できる制度も出てきて、投資に対する抵抗感が減りつつあるように思えます。

また一方では、難しいことは考えなくてもいいからAIを使ったロボアドバイザーとか○○ナビといったサービスに任せれば全部自動でやってくれる、といったサービスが増えつつあり、金額の面だけではなく手段も簡便化してきたことでますます投資が気軽にできるようになってきました。

私は投資そのものがやりやすくなること自体、決して悪いことだと思いませんが、投資を簡単なものだと考えたり、何かに任せれば良いと思ったりする考え方は大反対です。ではなぜそうなのかということについてお話したいと思います。

ポイント投資は本格的な資産形成にはならない

まず、最近増えてきている「ポイント投資」について考えてみましょう。そもそもポイントというのは買い物をした時に付与されるものですから、いわばおまけです。したがって、ごく一部のポイントマニアみたいな人を除けば日常生活で買い物をしたからといってそれほど貯まるものではありません。まあせいぜい数万円程度でしょう。数十万円分もポイントを持っている人は少ないと思います。

仮に3万円分のポイントを持っていたとして、それで株式や投資信託を買えても金額はたいしたことはありません。1割上昇しても3000円、倍になっても3万円です。ゲーム的な感覚でやるのであれば良いでしょうが、本格的に資産形成をするのであれば、元手が数万円しかないのにそれで資産形成ができるなどと考えないほうがいいでしょう。