女性のほうが平均寿命が長いのに年金額は圧倒的に少ない。ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんが自分で年金を増やす方法を教えてくれた――。
年金手帳を手に持ち見つめる女性
写真=iStock.com/west
※写真はイメージです

女性の年金は少ない

「働く女性向けに年金の記事を書きませんか」と編集部から執筆依頼があった。なるほど、考えてみると年金の記事のほとんどが「38年間会社員として働いた男性」が前提だ。働く女性のケースは見かけない。おもしろそうなので、依頼を受けることにした。

筆者はファイナンシャルプランナー(FP)として、25年ほどマネー相談を受けている。相談者の年齢は20代から80代まで、男性、女性に偏りはない。会社員、公務員はもちろんのこと、自営業や年金生活者といろいろだ。

幅広い年齢、属性の方々から相談を受けていると「女性の年金額は少ない」と思うことが少なくない。ここでいう年金とは、65歳から受け取る「公的年金」のこと。

たとえば、長年会社勤めをしている男性の年金は「年180万~240万円」に当てはまることが多い。ところが女性の場合、200万円を超える人はめったにいない。途中にブランクがなく働き続けた場合でも160万円前後という人もいる。

年金額の違いはどこからくるか

年金額の違いは何からくるものか。最大の要因は、働いているときの給与の多寡だ。働く女性が増えた最近でも、女性は男性よりも給与水準が低いという残念な現実がある。

厚生年金の額を決める要素は、厚生年金に加入しているときの「平均年収」と「厚生年金の加入期間」の2点。年収が高く、厚生年金の加入期間が長いと年金額は多くなる。反対に年収が低く、会社勤めの期間が短いと年金額は少なくなる。

女性は男性のように大卒22歳から60歳まで働き続ける人ばかりではない。結婚や出産のタイミングで退職し、子育てが一段落してから再就職するといったケースもよくある。海外留学をしていた人もいるだろう。厚生年金の加入期間が短いと年金額も少なくなるのだ。